株主総会雑感

 今週は、総会屋稼業個人投資家としての義務として株主総会に出席するため、東京に滞在しております。

 宿から超有名企業の本社ビルが正面に見えるのですが、夜12時に飲んで帰った時も朝5時に風呂に入ったときも、数フロアに煌々と明かりがともっています。総会の準備でしょうか。もうあんな生活は絶対にできないし、絶対に戻ってはいけないと固く心に誓いました。

 

 かつて主流であった30分で終了するようなシャンシャン総会はすっかり影を潜め、株主様の声を丁寧に聞く総会が持てはやされる時代となりました。そういえば昔のように総会が1時間を超えたから総務部長の首が飛んだみたいな話は耳にしなくなりました。

 個人株主の多いや社会的に注目される会社には、ブログやツイッターのネタ探しを目的に出席する株主も増えましたから、時間の長短ではなく風評被害の有無が総務部長の評価指標になっているのかもしれませんね。

 

 昔のように質問が一つか二つ終わったところで、最前列に陣取った本当は株を持っていない"なんちゃって"社員株主から「議事進行」なんて声がかかることもなくなり、質問がなくなるまで(または30分から1時間程度)質問時間を設けることが多くなりました。それに伴い質問の内容も変わってきました。

 まあ、何を言いたいのかわからない年寄りの演説や、意識の高い質問している自分に酔いしれる女性活動家から経営者へのアドバイスのような意味のない質問も多いのですが、昨今は流行りのテーマの質問が多くなってきたような気がします。

 最近の流行りはESGへの取り組みや働き方改革でしょうか。数年前にはダイバーシティーやROEなどでした。こういう質問は事前に想定問答集が作られているので回答しやすく、また経営者としてもちゃんと取り組んでいますとアピールしやすいものですから、完璧な答弁が準備されています。
 そこで気になるのが、定量目標を出す会社が多いこと。5年後に女性経営職比率を20%にします、とか次期中計ではROE10%を達成しますとか、目標だけは明確なのですが、そういう会社ほど「どうやって」という部分の説明がありません。まあ「頑張ります」ってことなんでしょう。

 

 突然トップが思い付きのように流行りの成果指標をぶち上げて、施策はお前らが考えろってやるわけですから、これでは社員も株主も報われません。結局、そんなやっつけで作った目標は達成することが目的化してしまうので、目標を達成できたとしても本来の目的を果たすことはありません。

 

 もちろん目標を作ることが悪いわけではありません。でも仏を作って魂を入れずでは意味がありません。無駄な行動計画やレポート作成業務が増えるだけです。またそういう会社ほど、翌年以降の総会やIR資料で、定量目標達成のための取り組みや経過を報告しないものです。(社長、結果にコミットする気ないでしょ?)

 

 不幸にしてそんな経営者が何代も続く会社の株主になってしまったら早くライバル会社の株を持ちましょう、経営者の無能さを知ってしまった従業員のみなさまは見切りをつけ転職しましょう。

 

「税理士よ、お主も悪よのう」

 スルガ銀行かぼちゃの馬車問題は、最近、小康状態のようですね。ワクワクするような続報を目にする機会がめっきり少なくなりました。そんな中、ガイアの夜明け砲の直撃でレオパレスの違法建築問題が発覚し、次の主役はこれかと期待していたのですが、その後あまり盛り上がることもありませんでした。どうやらみんな薄々気づいていたことが明らかになっただけで今更感が強すぎたのでしょう。残念。

 

 そんな中、新しい刺激を求めて先日ゼンチン(賃貸住宅フェア)に顔を出してきました。不動産投資をしていない人間にとっては完全にアウェイな場所なわけですが、無料で有名な人の話が聞けたり、いろいろ資料をもらえたり、かわいいお姉さんとお話できたり(←できなかったというかいなかったというか・・・)と何かしら得ることがあるだろうと期待し出かけてきました。

 

 2時間弱しか時間がありませんでしたし、有名な方のセミナーは満員のため聞けず仕舞いに終わり残念でしたが、素人なりに楽しむことができました。来年はもう少し気合を入れて参加したいと思います。

 

 参加してみて強く感じたことがあります。それがタイトルの「税理士よ、お主も悪よのう」。昨今の不動産業界を取り巻く不祥事・事件では、一般的に不動産や金融業界が悪者にされているのですが、なかなかどうして税理士も陰の主役ではないかと思えてきました。

 

 たまたま席が空いていたので消費税還付セミナーなるものを聴講したのですが、まあその内容の酷いこと、税務署の人間が聞いたら怒るよあという話でした。

 消費税は売上に係る消費税から仕入に係る消費税を控除した差額が納付額となります。逆に仕入に係る消費税が売上に係る消費税より多ければ、その差額の還付を受けることができます。この仕組みを合法的に悪用活用し、消費税を丸々還付してもらおうというのか消費税還付スキームです。

 何度か法律が改正され抜け道をふさがれましたがその都度あの手この手を見つけ出し、いたちごっこが続いています。まさに「上に政策あれば、下に対策あり」の典型なわけですが、これを主導しているのが消費税還付を専門にした税理士です。それにしても、金の売買で課税売上を作れば・・・なんて堂々としゃべっていいんでしょうか?

 

 彼らは通常の税理士のようにチマチマした月額の顧問料でメシを食っているのではなく、主に成功報酬(還付された消費税の20~30%が相場)で生計を立てています。1億円の建物を買って消費税800万円の還付を受けたら、160~240万円ゲットです。

 でもやってることといえば、会社で消費税の申告を何回か経験すればだれでもできるような簡単なことばかり。はっきり言って一度きちんと仕組みを理解すれば、素人でもできるようなレベルです。まあ、税務署に因縁をつけられたときに対峙する報酬も含まれているのかもしれませんが、短ければ数時間、長くてもその数倍の手間しかかけずにこれだけの手数料が手に入るのですからおいしい商売です。不動産仲介の方よりもはるかにぼろい商売に見えました(詳しいことを書くと営業妨害なので書きません。興味のある方はネットで調べるか、来年のゼンチンへ) 。

 

 当たり前ですが、彼らは成功報酬ですから取引額が大きければ大きいほどそれに比例して報酬が増えます。そして取引が終われば投資家が儲かろうと損しようと彼らの知ったことではありません。

 何が言いたいかといえば、彼らは銀行や不動産会社と利害が完全に一致しているということです。つまり投資家の味方ではないということ。味方のような顔をして、私腹を肥やすことしか考えていない輩がこんなところにもいるんですよ、ということです。

 

 不動産の世界はまさしく「渡る世間は鬼ばかり」、あらためてそれに気づかせてくれたゼンチンに感謝です。 

 

 

 

 

 

前回に続いて仮想通貨ネタ

 昨日、仮想通貨業界ネタを書いたところ、タイミングよく2つほど新たなネタを投下していただきました。まさか、このブログを読んだわけはないでしょうが、ナイスタイミングです。

 

 一つ目は昨日少し触れた、高岡壮一郎氏です。以前、盛大にやらかしている段階ですでに微妙なわけですが、山本一郎氏から「財団と名乗りながら株式会社じゃねえの」などいろいろツッコミを入れられ、ちょうど反撃を開始したところのようです。

 週明けから上品なコメントの応酬が繰り広げられそうな雰囲気ですので、生暖かく見守っていきたいと思います。

 今日のメインディッシュはこちら。朝から読んで吹き出してしまいました。もう人間ではなく、強欲ゴリラでもない、サルレベルの方までICOで一儲けを始めようと活動を始められたということですね。

 経歴詐称疑惑もそうですが、書いてある内容から日本語の表現まで隅々まで楽しませていただける仕上がりっぷりです。ここまでくるともう行きつくところまで行きつかないと正気に戻れないんでしょうね、この業界は。

 数日前に話題になり始めたところなのにものすごい数のツッコミがネット上にあふれています。こんなに話題になるなんて、ある意味、尊敬しちゃいます。


 最後はわれらが内藤忍氏の最新著作のご紹介です。その名もズバリ「絶対に損をしたくない人のための仮想通貨投資入門」。いいんですかねえ。最近は本を出すたびに評判が落ち、それに反比例するように写真のお顔から妖しい(「怪しい」ではありませんw)オーラが強まってきているような気がします。(※個人の感想です)

ビットコインのお金の増やし方がわかる本
2017年11月の価格の急騰以降、急速に世間の注目を集めているビットコイン
本書では、資産運用のプロで、数多くのベストセラーを出している内藤忍氏が、
一投資家として知識ゼロから始めた経験を踏まえ、
これから始める人がビットコイン投資でお金を増やすために
知っておきたいポイントだけに絞ってQ&A方式で解説!
すぐに始めたい人が必ず知りたい、ビットコイン投資の疑問に投資家目線ですべて答えます!

 これ、アマゾンの紹介文です。昨年末のイケイケの時に執筆を開始したんでしょうかね。この時期に出版されてしまうととても残念な気持ちになってしまいます。

 そういえば、内藤氏の評判を不動のものにした「飲めて殖やせる 究極のワイン投資」も絶妙に残念なタイミングでしたね。2015年3月に出版し本の中で「日本で唯一のワインファンド」と絶賛推奨していたファンドが、同年12月に詐欺だとわかったという黒歴史が思い起こされます。

 AMAZONの評価を見る限り買う値打ちはなさそうですので、暇なときに立ち読みしてまたいつかブログのネタに使わせていただきます。

 

 

 今の仮想通貨業界は、1999~2000年のITバブルのころに似ています。「何の実績もない企業や人が壮大な夢を語り、金儲けに目がくらんだ無知な投資家がその夢を信じてお金を投じ、そしてある日突然夢から覚める」きっと最後はそんな感じになるのでしょう。

 何千社の中から一つや二つ、世の中を変える企業や仮想通貨が生まれるかもしれません。でもどれが成功するのか、今の段階で見極められる人は世界に一人としていないです(だれにもわからないから、我こそはと有象無象がICOに励むのです)。

 夢を見ることもいいでしょうが、宝くじと同じくゼロになっても笑える範囲でお楽しみください。

 

 

 

 

 

 

 

話題に事欠かない仮想通貨界隈に幸あれ

 相変らず仮想通貨界隈がにぎわっています。仮想通貨の暴落で最近影が薄らいでいたイケダハヤト氏が自分のサイトにこっそりとCoinhiveを仕込んでいた件を蒸し返され、GACKT氏がスネに傷のある仲間たちとICOしたGACKTコインが大暴落をかまし、出版すると不幸なことが起こる内藤忍氏が仮想通貨の本を出版した途端、暴落するなど、野次馬にとってはワクワクする展開が続いています。

 

 そんな中、かつて「いつかはゆかし」でピカピカの行政処分を頂戴した高岡壮一郎氏が満を持してICOを始めたとのこと。この業界、これからもまだまだ目が離せそうにありません。


 それにしても、よくもまあ道端の飴玉に集まるアリのごとく、各方面からお金の嗅覚が発達した意識高い系御用達の有名人がぞくぞくと集結してくるものです。まさにオールスター集結といった感じでしょうか。

  私はこちらの世界は門外漢ですので何かを語る資格がないことは自覚しているのですが、ここまでカオスな状態が続くとやはり何かツッコミを入れたくなるものです。

 

 さて、仮想通貨の何がそんなにすばらしいのか全く理解できない私にも、仮想通貨を支えているブロックチェーンという技術自体に、世の中の仕組みを変革する可能性を秘めているということくらいは何となくわかります。でも「ブロックチェーンが凄い=仮想通貨が凄い」というのはやはり短絡的と言わざるを得ません。 

  技術的にどんなに優れていたとしても、ハッキングが起きてしかも犯人は捕まらず、またなんちゃってICOでお金を持ち逃げしたなんて話が世界中で毎月のようにニュースになっているようではいつまでたっても山っ気のある人たちのカジノ場の域を脱することはできないのではないでしょうか。

ニューヨークにあるICOinitial coin offering)およびデジタルアセットのアドバイザリー企業「Satis Group LLC」の調査によると、ICOの80%が詐欺であり、取引所で取引されているトークンはわずか8%に過ぎないとのこと。

  加えて、税務当局に把握されにくく、お金のクリーニングが簡単にできて、差し押さえすら困難みたいなんて話も耳にします。だとすると、ますますややこしい方面からのニーズばかりが高まって、飴玉に集まるアリどころではなく、●●●(自主規制)にたかる銀バエみないのばかりが集まってくる状況になるのではないかと心配する次第です。

 そうなると善良な一般人は、無言で立ち去るよりなく、気が付けば 「悪貨が良貨を駆逐する」という結果に終わっていたなんてことになるのではないでしょうか。

 

 本来であれば国家や法が秩序を作るものですが、仮想通貨の存在意義が国家や法の縛りを受けなず自由であることである以上、政府の規制や法の秩序に守ってもらおうというのはどう考えても虫が良すぎる話。結局、完全に自由な世界と美名のもと、弱肉強食のアナーキーな状態が続くことでしょう。ソンナトコロ ニ トウシシテ ダイジョウブ デスカ?

 

 私はチキンな人間ですから、これからも遠くの安全なところから生暖かく状況を見守りたいと思います。仮想通貨の将来に賭けてガチホしている投資家の皆さんにいつか春が訪れることを祈ります。

「一万時間の法則」と「百の法則」

 「一万時間の法則」を耳にしたことがある人も多いと思います。マルコム・グラッドウェル氏が著書の中で「一万時間の法則」に触れています。どんな分野でも一万時間程度継続して取り組んだ人は、その分野のエクスパートになれるという経験則のことのようです。

 石の上にも三年(1日8時間強×3年で約1万時間)という言葉もあるくらいですし、経験則としてはある程度意味があるのかもしれませんね。
 ただし「エキスパートになれる」は言い過ぎでしょう。本当のエキスパートは才能に加えて1万時間どころか数万時間、それ以上の時間を費やしているはずですから。

 

 ただ1万時間続ければ、凡人であっても百人に一人、千人に一人程度のスキルや知識を身につけることは十分に可能です。ほとんどの国家資格も学習時間が数百時間から数千時間で取得可能ということですから、資格や仕事、新しい趣味などどんな分野でも人に胸を張って「これが得意です」といえるレベルになれるのではないでしょうか。

 


 こんなことを書くと、「そんなに時間を掛けるなんて無理」なんて声も聞こえてきそうです。でも、安心してください。百人に一人のレベルは求めないけど一定の知識や経験を積みたいというのであれば「百の法則」というものもあります。えっ?、聞いたことがない?それはそのはず、単なる私の経験則です。スミマセン。


 「百の法則」はわたしが勝手に名付けたものですが、それほどいい加減なものではないと思います。プロになるわけでもないし、生涯の趣味にするわけでもないけどちょっと詳しくなりたいというレベルを目指す方にお勧めの考え方です。それほど時間をかけずに一定のレベルに到達できるのですからある意味、コスパがよいといえるでしょう。

 

 ではどんな法則なのか、なんてことはありません。学びたい分野で百回経験を積みましょうというものです。

 例えば家を買う場合を考えましょう。マンション・アパート、新築・中古、都心・郊外、分譲・賃貸などいろいろな属性の百物件を隅々まで内覧すれば、物件の良し悪しのポイントがおぼろげながら見えてきますし、自分が一番こだわりたい部分が何かも明確になってくるはずです。

 就職するのであれば100社の面接を受ければ自分の適性や面接のコツもわかりますし、大企業のトップから中小企業のオヤジまで100人と話をすれば無能な経営者、口だけ番長くらいは見分けがつくようなります。

 さまざまな分野のセミナーに100回参加すれば「こいつはセミナー屋だ」と何となく感じるものですし、株も100社くらい売買すればクソ株かどうかくらいはわかります。夜の街で百人のお姉さんと遊べば店員の口調とパネルから地雷姫くらいは見分けがつくものですw

 

 どんな分野であれ、百回の経験を積めば十分に役立つレベルにまで到達するはずです。そのレベルに到達すれば、偽物(偽者・地雷等)をかなりの確率で分別できるようになるはずです。地雷を踏む確率は確実にゼロに近づきます。確率をゼロにすることは無理でも致命傷を負うことはなくなるでしょう。

 

 長い人生、何度か大きなミスを犯すこともあるでしょうが致命的なミスさえ避ければ何とかなるものです。このブログを読んでくださる方はお金に関心のある方が多いでしょう。詐欺や合法的詐欺に遭わないため、百の法則を利用して効率的にファイナンシャルリテラシーを高めてはいかがでしょうか。蛇足ですが、男性諸氏はお姉さんに対するリテラシー向上も忘れずに、と意味不明なことを書いて今日は終わります。

 

 

 

 

 

 

 

 

なぜ伊藤園の個人株主は非合理なのか?

 今日は、伊藤園の題材にして、個人投資家がいかに非合理的な行動をしているかを考えてみたいと思います。

 まずはヤフーファイナンスを使って、本日午前中の株価をベースに大手飲料各社の指標を比較してみます。(シェア上位5社のうち、キリンとアサヒは飲料よりも酒類や海外の比率が圧倒的に高いので除外) 

表1      伊藤園   コカ・コーラ サントリー食品

(株価指標)

配当利回り      0.80%     1.08%       1.62%

PER      31.68倍   32.98倍     18.62倍

PBR      4.29倍     1.53倍                 2.19倍

(収益性)

営業利益率           4.45%           4.65%                 9.56%

ROA                     4.16%            4.00%                5.41%

ROE                     9.03%             5.69%             12.57%

(安全性)

自己資本比率     47.30%         70.90%               45.40%

  サントリーが株価指標、収益面で優れてますね。コカ・コーラジャパンは指標にはありませんがトップシェアであること、安全性が高いことが優位性といえるでしょうか。伊藤園は特に優れた指標は見当たりません。

 

 ところで、なぜサントリーの株だけが割安なのでしょうか。海外比率が高く、海外で砂糖税問題や競合との競争激化が懸念されるからだという理由を読んだこともありますが、私はずばり「株主優待がないから」だと思っています。

 ちなみに伊藤園株主優待銘柄が少ない4月決算であることから、指標面で優位性がなくても人気を集めやすいのではないかと思います。

 

 さて、ここでクイズです。もしあなたが今から下表(表2)に基づいて投資をするとすればどこを買うでしょうか。

表2      伊藤園※  コカ・コーラ サントリー食品

(株価指標)

配当利回り      2.00%     1.08%       1.62%

PER       15.84倍   32.98倍     18.62倍

PBR      2.15倍     1.53倍                 2.19倍

(収益性)

営業利益率           4.45%           4.65%                 9.56%

ROA                     4.16%            4.00%                5.41%

ROE                     9.03%             5.69%             12.57%

(安全性)

自己資本比率     47.30%         70.90%               45.40%

  表1のときに伊藤園に魅力を感じなかった人の中にも、表2なら伊藤園を買ってみてもいいと考える人がいるのではないでしょうか。何せ表1と比較すると配当が2.5倍、PERは半分になり、ともに3社で一番良い数値になりましたからね。

 

 実はだれでも伊藤園の株式を表2の指標(価格)で購入することができるのです。伊藤園優先株というものを発行、上場しています。この優先株普通株を購入すればよいのです。

 しかもこの優先株には普通株式よりも配当を多くもらえるというメリットがあります(直近の見込みでは普通株が40円に対して優先株は50円)。一方で流動性がやや低く(とはいっても100~1000株ならいつでも売れます)、議決権がない(総会に出席できない)というデメリットもありますが、ほとんどの個人株主には影響ないはずです。

 

 議決権のある普通株を買うためには約50万円必要ですが優先株なら約25万円で済むのです。株主優待は同じように権利がありますし、配当は普通株よりも1000円多いにもかかわらず、議決権がないという理由だけで約半値で買えてしまうのです。

 数字だけ見れば、伊藤園の議決権には25万円(50万円-25万円)の価値があるということになります。合理的に考えれば、個人投資家普通株を売って、優先株を買った方が明らかに有利なはず。。。

 

 ではなぜここまで割安に放置されているのでしょうか。優先株知名度が低いことと優先株という仕組みを理解していないことが理由でしょう。IR説明会の時に質問してみましたが、IR責任者も同じ見解でした。

 これだけ情報があふれかえっている現在でも、市場を隅々まで見ていると、随所に個人株主の非合理な行動や矛盾に満ちた行動をみつけることがあります。このような歪みを見つけて投資するのも(儲かるという保証はありませんが)、経験値を高めるという意味では面白いと思います。

 

※私は伊藤園優先株をしこたま所有しているため、完全なポジショントークです。また、伊藤園及びその優先株を推奨するものではありません。売買の判断は自己責任でお願いいたします。

 

 

 

 

 

 

【朗報】日清食品の株主懇談会廃止について

 株主総会のシーズンが近づいてきました。そのためか、相変わらず昨年個人株主に対して苦言を呈した「株主総会、お土産廃止の件」へのアクセスが多くなっています。

 

 今年も総会について何か書こうと思ってはいたものの、去年と同じ内容になりそうなのでどうしようかと思案しておりました。そんな折、日清食品社から株主懇談会終了の発表がありました。まさに、我が意を得たり。日清食品の決断をたたえ、これをネタに書きたいと思います。(本来はたたえるほどのことではないのですが。。。)

 

 株主アンケートの結果を検討した結果、株主懇談会を廃止しかわりにIRを充実させるとともに増配し株主還元を強化することにしたということのようです。

 まあ、うがった見方をすれば「手間がかかり面倒くさく、その割に得るものの少ない懇親会なんてもうとっくに役割を終えたので、何か理由をつけてやめたかった」というのがホンネでしょう。さすがに正直に言うと角が立つので、株主アンケートを利用して「株主の声」という大義を作ったというところでしょうか。

 

株主懇親会にご出席頂けなかった株主の方々から、より多くの声を、より公平に聞くべきとの多数のご意見を頂きました

 とのことです。どうやらこの懇親会とやらは、300株以上の株主は無条件に参加でき、それ以外の零細株主は抽選だったそうです。もろ、株主平等の原則に反していますから、抽選に漏れた人や地方の株主から文句が出て当然でしょう。

 

インターネットを活用したオンライン会社説明会を行うことと致しました。(中略)当社ウェブサイトの情報の充実も含め、株主様とのコミュニケーションの一層の強化に取り組んでまいる所存です。

 一見正論です。でもこの「ネットを活用した・・・」という解決策は、ネットが苦手な年寄りを切り捨てますと公言しているに等しいので、株主平等の原則には反しますよね。大丈夫ですか?

 まあ、食事と土産が目的のさもしいごく少数の株主を切り捨てるほうが、今よりもずっと公平だということでしょうかね。私は好意的に解釈することにします(笑)

 

 で切り捨てられる人からのツッコミをかわすために、

今期は株主様への利益還元の一環として、一株当たり 20 円の増配(年間配当 110 円)と 10%の自己株式の消却を行う予定です。

と株主還元の強化をうたいます。なかなかよく考えましたね。ここまでしたのだからそれでも文句のある株主は他所に行ってくれてもかまわないよということでしょう。

 まっとうな株主であれば20円もの増配を素直に喜ぶでしょうから、文句を言って出ていく株主は会社にとっては望ましくない(質の悪い)株主ということですね。なかなかよくできた個人株主の浄化策だと思います。

 

 とりあえず今回の施策には合格点(といっても60点くらい)を付けたいと思います。あわせて株主優待も廃止にすると宣言すればもっと浄化が進むので90点くらいを差し上げられるのですが、今後に期待しましょう。