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リタイアすると出費が増えるという不都合な事実について

 新聞や雑誌に掲載されているファイナンシャルプランナーが作った資金プランでは、ほとんどの場合、リタイア後の支出はリタイア前の70~80%の水準になると仮定して計算しています。

 でも、リタイアしたら支出が70~80%の水準に減るというのは大きな誤解です。「支出をこれくらいに抑えないと資金が足りなくなりますよ、ここまで減らしなさい」と言う警告だと思った方がいいと思います。

 早期リタイアする人の多くは、今より人生を楽しみたい、QOLを向上させたいと思っているはずです。だからよほどしっかりと生活費を管理しないかぎり、気が付けば支出が減るどころか増えてしまいます(教育費だけは子供が成長すればなくなるので例外)。

 いや、ゴルフや飲食代のような交際費、冠婚葬祭費もなくなるし、スーツや靴とかもいらなくなるだろうという声もあるでしょう。でも現実はそんなに甘くはありません。

 理由は簡単、「自由な時間が激増する→やりたいことがたくさんある→知らないうちに支出が増える」という非常に単純な図式です。しかも、配偶者がいる場合は自分だけ小遣いを増やして楽しむわけにはいきませんから、パートナーの支出も増えると覚悟した方がいいでしょう。

 テレビや雑誌などで紹介されている節約上手なリア充退職者たちの家計簿を見ていると「税金や社会保険料がない」「医療費がない」「車や大型家電の買い替え資金や自宅のリフォーム代や修繕費を無視している」「自分たちの小遣いや子供や孫への支出がない」場合が大半です。

 こんな記事を読んで、夫婦二人で月15~20万円でぜいたくなリタイアライフが過ごせると勘違いすると将来大変なことになってしまいます。数年後に後悔しても始まりませんし、でもだれも責任を取ってはくれません。

 だからといって、リタイア後の生活が苦しくなり、節約のためにビールを発泡酒にし、交通費を減らすために外出を控え、全身GUやしまむらに身を包み、外食費を減らすために3食自宅で済ますという生活が本当の幸せかといえば、私は違うと思います。

 リタイアを検討するうえで資金計画は欠かせないものですが、いくら蓄えたらリタイアできるかを考える前に、自分が望む生活を実現するためにはいくら支出が必要かを考える方が先です。

 一度膨らんだ支出を削るのは精神的につらいことですし、ケンカのもとにもなりますので、あらかじめ決めた予算内で生活できるように支出に優先順位をつけ可能な限りの工夫を凝らさなくてはなりません。そのためにも家族全員で考え、合意し、納得しておく必要があります。

 リタイア系のテレビ番組や雑誌は”夢を売る商売”ですから、不都合な事実には触れたがらないということを肝に銘じておきましょう。

 ちなみに私は70歳まではほぼ現役時代と同じか少し多いくらいの支出に耐えられるように計画を立て、実行しています。