大丈夫ですか、内藤忍さん。元インデックス投資の伝道師、ついにご乱心?

 ネット上には投資に関する様々な情報があふれています。でも残念なことに多くの人にとって有益な情報は多くても10%程度でしょう。あとは毒にも薬にもならない情報が20%、有害な情報が70%といったところでしょうか。

 週末、ネットで「ワンルームマンションの寿命は、人間と同じ80年」という記事を読んで、飲んでいたコーヒーを吹き出しそうになってしまいました。その”素晴らしい”記事をご紹介したいと思います。なお、記事を書かれた内藤忍氏は個人投資家向けに資産運用の啓発活動や書籍の出版、アドバイスをしている"プロ"です。

 

さて、そのツッコミどころ満載の記事ですが、いきなり

 資産運用環境の想定外のリスク(財政悪化リスク、金利上昇リスク、円安リスク、インフレリスク)に資産全体でどのように対応していくかをお話しましたが、その中で「国と同じポジションを取る」ために活用できるのが国内不動産投資です。

というコメントが目に飛び込みます。財政悪化リスク(≒国の破たん)を心配しているのに、国と同じポジションを取れ(借金まみれになれ)とはとんでもないことをおっしゃっています。また金利上昇リスクに備えるために、借金で国内不動産を買えったって返済途中に金利が上昇したらどうするんですか。ほとんどの人はアウトです(法人や資産家のように長期固定でかつ低金利で借り入れる人は例外)。

 次に、今回一番驚いたワンルームマンションの寿命についててです。

上野の同潤会アパートですが、2013年に解体されるまで84年間実際に使われていたことがわかります。

 確かに事実です。でも、この写真をみれば撮影された時点(取り壊される10年前)で寿命を超えていることは明らかです。私には、耐震上大きな問題があり投資用マンションとして価値があるとはとても思えません。

 ワンルームマンションの構造も同じRCですから、これと同じくらいの利用価値があるといっても、大げさではないと思います。

 たった一つの例外物件の存在を根拠に同じRC構造だからワンルームマンションも同じだと断言するところには悪意すら感じます(ちなみに他の同潤会アパートで80年を超えたものは一つもありません)。内藤さんの理屈では「法隆寺は1数百年建てられ現存しているのだから、現代の木造建築も1000年は大丈夫だ」ということになりませんか?

 同潤会アパートは、関東大震災のあとに建てられた当時の最高技術を駆使した高スペック物件です。当初は軍人、役人、大学教授などしか入居できない高級アパートだったといわれており、現在の庶民向けの低スペックワンルームマンションとは雲泥の差があります。それを同列に語ることは大げさかどうか以前に、大きな誤りと言わざるを得ません。

 内藤さんは東大を卒業されてエリートコースを歩み続けた方ですし、すでに大資産家でいらっしゃるでようですからきっとワンルームマンションに住まわれた経験がないのでしょうね。

 ワンルームマンションで80年も寿命のある物件なんて絶対に存在しません。実際に住めばそのチャチな作りがわかりますし、もし住んだことがなくても不動産投資家は最小の投資で最大のリターンを得ることを目的にすることを知っていればわかるでしょう。

 長寿命かどうかは賃借人には関係のないことなので、相場より高い家賃を得ることができません。なのにわざわざ建築費を通常の1.5~2倍もかけて長寿命の投資用マンションを建築するお人よしはいません。事実、同潤会アパートですら賃貸では資金が回収できないことを理由に、早々に新規の建築を断念しています。

 いくらご自身が不動産投資を始めて(今のところ)成功しているからといって、現在のように投資家にとって市況が不利(物件が高すぎる)ときにこんな無茶な買いあおりをするのは、プロとしていかがなものでしょうか。

 内藤氏にはあえて「ご乱心」という言葉を贈りたいと思います。