ついに貸し出しでも金融機関のモラル崩壊が

 すでに高額預金者や定年退職者を狙った投資商品の販売では、銀行のモラル低下ぶりは目を覆うばかりですが、本業である貸出業務でもモラル崩壊が始まっているようです。

不動産融資最高 12兆円 16年15%増、節税アパートなどで活況 

 日銀が9日発表した「貸出先別貸出金」によると、2016年の金融機関による不動産融資は前年を15.2%上回る12兆2806億円だった。統計を遡れる1977年以来で過去最高だ。(中略)

 大手銀は破綻した時に返済の優先順位が低い劣後ローンと呼ばれるややリスクの高い貸し付けなども増やすなど貸出先の開拓に躍起だ。

 セミナーなどで不動産会社と結託(失礼、協業)してプチ資産家に無茶な賃貸アパート・マンション向けのローンを提供していますが、それがはっきりと統計にも表れているようです。さらに、大手銀行が返済順位の低い(つまり回収の可能性が非常に小さい)劣後ローンにまで触手を伸ばすなんて、禁断のリンゴを食べてしまったとしか言いようがありません。

リスク置き去りの活況 空室増え延滞懸念

 貸し出し競争の激化でノンバンクなどが審査基準を大幅に緩めているといった問題を指摘する声もあった。金融庁は将来、過疎などで空室が増え、返済が滞るリスクなどを銀行が適切に借り手に伝えているかも調べる。

 本来、ノンバンクなどが担うべき劣後ローンにまで銀行が領空侵犯しているおかげで審査基準を緩めなければ貸し出せないようです。ここにも銀行のなりふり構わぬ融資姿勢が垣間見えます。将来、リーマンショック日本版のような不良債権が発生しないかと心配になってしまいます。

自己破産、13年ぶり増加=銀行のカードローン急拡大―16年
消費者金融への批判が高まり、06年にはノンバンクからの借り入れを年収の3分の1までに制限する改正貸金業法が成立。(略)

  この結果、ノンバンクの消費者向け無担保貸付残高は、05年度末の17兆6399億円から15年度末に4兆4438億円まで減少した。しかし、これに代わって11年ごろから銀行のカードローン残高が急伸。日銀の統計によると、16年末は5兆4377億円で、5年間で1.6倍に拡大した。

 さらに、銀行のカードローンには年収による借入制限がないことをいいことに、消費者金融の領域まで浸食し、カードローン破産者を量産し始めているようです。ノンバンクや消費者金融業界を脅かすだけでなく、破産者まで量産しようとしています。こんなことをしながら「資産運用のプロ」ただの「あなたの心強い味方」だのイメージ広告を打つ姿には嫌悪感を覚えざるを得ません。

 とどめに、今朝ポストに投げ込まれていた新築マンションのチラシに記載されていた大手地方銀行の住宅ローンです。

 頭金0円、借入金3140万円、変動金利0.6%、借入期間40年!返済月額48,751円、ボーナス払い149,233円。

 もう完全にリスクという概念が吹き飛んでいますね。大学卒業と同時にマンション買っても定年退職段階でローンが完済しない条件で貸すなんて狂気の沙汰としか思えません。40年経てば貸した時の銀行員もほぼ全員退職しています。「貸したらもうし~らない、後のことはよろしく。万一の時はマンション売って返済してね」ってことですよね!これをモラル崩壊と言わずしてなんといいましょうか!

 貸し手にも、借り手にも不幸な人が出ないことをただひたすら願うばかりです。

 なお、銀行で働く行員一人一人はみんなまじめていい人だと思います。そんな人にノルマや評価制度でモラルを捨ててまで無理強いさせる金融機関の経営者や体質を批判しているだけです。