後輩のご栄転に思う50歳からのサラリーマンの幸せ

 先日、大学の後輩から「飲みに行きませんか」というメールが届きました。時期が時期ですので、異動になるのだろうと思い尋ねたところ、やはりそのとおりでした。詳細はまだ聞いていませんが、本社に呼び戻されるようです。世間的には、ご栄転といっていいポジションのようです。

 彼とは卒業後20数年、連絡を取り合っていなかったのですが、2年前に転勤になったとき、転勤先に私が住んでいることを偶然知り、連絡をくれたのです。それからは半年ごとに飲みに行く程度のゆるい付き合いを続けていました。

 再会してはじめて飲みに行ったときに、彼は私が早期リタイアしたことに大いに驚き、なぜ退職したのか、どうやって生計を立てているのか、家族をどう説得したのかなどを熱心に尋ねてきました。会社生活にいろいろと思うところがあったようで、私の早期リタイアという選択に関心を持ったようでした。

 彼の話を聞いたところ、仕事へのモチベーションが低下し、お金を得る為だけのために多くの犠牲を払い働き続けることに疑問を持っていると、かつての私と同じ悩みを抱えていることがわかりました。彼の気持ちが痛いほど理解できたので、早期退職のメリット、デメリット、さまざまなリスクへの対策についてできるかぎりの話をしてきました。

 飲みにいった帰り、彼は退職すべきかどうか悩みを抱えたまま、単身赴任向けの寮へと戻っていきました。そんなことが続いていたので彼がどのような結論を出すのか気になっていたのですが、今回、異動の報告するために時間を割いて食事を誘ってくれたということは、彼は会社に残る道を選んだのでしょう。

 新しいポジションで活躍し、仕事の達成感や苦労が自分の成長につながったことが実感できたり、いらいらしつつも我慢し面倒をみてきた後輩や無理難題ばかり言ってくる取引先から感謝されるなど、仕事の中に満足感や幸福感を感じることができたなら、彼がこの2、3年悩んだことも無駄ではなかったと言えます。

 でも、もしお金の心配や家族の説得に失敗したため、やむなく会社に残る道を選んだのであれば、彼は引き続きサラリーマンの幸せについて悩み続けることになるでしょう。そうでないことを願うばかりです。

 

 サラリーマンという生き方が不幸だとは決して思いません。私もサラリーマンという働き方に幸せを感じた時もありました。会社勤めにも自営業や専門職にもやりがいもあれば、苦労もあり、その中でなにを幸せと感じるのかは人それぞれです。第三者がどうこういう問題ではないと思っています。

 ただ、ライフサイクルや年齢により幸せの基準が変わることもありますし、結婚・出産・大病・死別などをきっかけに価値観がかわることだってあり得ます。一度選んだ道だから、嫌になったとしてもそのまま定年まで続けるしか自分には選択肢がないとだけは思わないでほしいのです。

 

 明日の夜、彼と飲みに行きます。サラリーマンの幸せとは何かをあらためて考えさせてくれる彼を「よかったな、頑張れよ」と笑って送り出してあげられるといいな。