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悪徳営業にだまされたある資産家の悲劇

 まさか自分の身近なところでこんな話があるなんて思いませんでした。叔母の仲のいい隣人(95歳の女性、以下Aさん)が、地元の証券会社の営業に利用されて、遺産を食いつぶされそうになったのです。

 3年ほど前、久しぶりにAさんのもとを訪ねた息子のBさんが、たまたま段ボールにたまっている封筒の山を見つけ、発覚したそうです。Aさんに尋ねてもあいまいな返事しかしないので不審に思い、封筒をすべて開封したところ、驚くべき事実が判明したらいしのです。

 Aさんは10数年前に旦那さん(Cさん)を亡くし、かなりの遺産を相続したそうです。相続財産が国債と大企業の株式だったため、Cさんが使用していた証券会社に口座を作りAさんの名義で保有していたそうです。

 当初はCさんの担当営業マンがそのままAさんの担当になりました。満期になった国債は新しい国債を購入するようにお願いしていたため、何も問題は起きませんでした。

 ところが、3年ほど前にその担当者が退職し、新たにDという営業マンが担当になったところから悲劇が始まります。Dは頻繁にAさんに電話を入れ、やさしい言葉をかけ世間話の相手をしてくれたそうです。数か月が経ち、Aさんは子供や孫たちよりも頻繁に連絡をくれるDにすっかり心を許してしまいました。

 Aさんに警戒心がないことを確信したDは次第に本性を現し、満期になった国債の資金で、自らの営業成績をあげるべく勝手に売買を始めたのです。はじめは大企業中心だったようですが、徐々にエスカレートし、リスクの高い新興企業の株を日計り商いしたり、ギリシャやロシアの国債、毎月分配の超ハイリスクな投資信託の売買を繰り返すようになったそうです。

 Bさんが気づき、段ボールにたまった封筒をすべて開けて取引の全貌が明らかになった時には、相続した4000万円ほどの資産が、わずか3年で1000万円強にまで減っていました。

 BさんはDに電話をし説明を求めたそうですが「Aさんの了解を得た取引だ」と一切非を認めようとしなかったそうです。次第に電話にも出なくなり、支店を訪問しても居留守を使われ、接触することができなくなったそうです。

 Bさんは母親Aさんにも確認をしましたが、なにせ95歳です。耳も遠ければ記憶もあいまいで、Dから頻繁に電話があったことは認めてはいますが内容はほとんど覚えていません。Dがウソをついていることは明らかでしたが、証拠がなく泣き寝入りするしかないのかと途方に暮れたそうです。

 あきらめかけていたとき偶然、叔母がBさんからその話を聞き、法事で十数年ぶりに再会した私に叔母が相談したのです。偶然が重なって事態は少し好転することになります。

(続く)

 

 それにしても、昭和のバブル全盛時代ならいざ知らず、今でもこんなひどいことが身近で起きていると知り私は驚きました。そして、あまりにもひどい話なので少しお手伝いをしようと思ったのです。