株主優待に関する不都合な事実

 日経新聞が本日の一面で株主優待バブルについて警鐘を鳴らしています。最近、日経グループではダメダメ記事ばかりが目について、私の日経への信頼は暴落を続けていましたが、今日はほんの少しだけ回復しました。

 記事にもあるように、株主優待を実施している会社は1300社を超えました。1992年には251社とのことですから25年で5倍に増えたことになります。かつては個人株主にとって「商品や金券がタダでもらえるのでラッキー」という程度のマイナーなものでしたが、ここ数年マネー誌だけではなく、さまざまな媒体で紹介されたり本が出版されたりしてすっかりメジャーになってきました。

 その結果、株主優待を目的にして投資をするといった、まるで「グリコのおまけ欲しさにグリコ本体を買う」ような本末転倒な投資法が目立ってきました。最初は個人株主のためによかれと思って始めた制度なのでしょうが、度が過ぎたり、本来の目的と違う目的で利用され始めている現状を見ると、早晩、さまざまな弊害が表面化するのではないかと心配してしまいます。

 

 ところで、企業が株主優待制度を導入するメリットはなんでしょうか。ざっと思いつくところは次の5つです。

1.節税になる
 配当は法人税等を払ったあと残った税引後利益から払われます。一方、株主優待制度にかかった費用は販売促進費や広告費に該当し費用として認められるので、税引前の利益が減少し、その結果法人税等を減らすことができます。

2.企業イメージや知名度の向上につながる

 株主優待制度を導入する会社は個人投資家を重視していると評価される傾向が明らかです。BtoCビジネスを行う企業にとっては、企業イメージ向上の効果は無視できないものでしょう。BtoBであっても、企業イメージ向上は直接的なメリットは少ないでしょうが、株主優待で金券でも配ろうものなら雑誌やSNSなどで紹介される機会も増え、知名度向上や人材の獲得にプラスに働くと思われます。

3.自社商品の宣伝や顧客の囲い込みができる

 食品会社であれば同じ買うなら優待を送ってくれる会社の商品を買おうと思ってもらえるでしょうし、外食系や流通系の会社であれば、ライバル店よりは優待を送ってくれる企業の店で食事や買い物をしたりしてくれるでしょう。チラシやCMなどよりもはるかにコスパがよい販促策となります。

4.自社の売上・利益の増加につながる

 すべての会社にあてはまるわけではありませんが、株主優待というエビで鯛を釣っている会社も少なくはありません。たとえば、レジャー施設運営会社にありがちな無料入場券を考えればわかりやすいと思います。来園してもらえれば、入場料が無料でも食事やお土産にお金を使ってくれますし、一枚無料券を配れば家族で来園することもあるので効果絶大です。他にも小売り系企業にありがちな、●%割引も同様です。

5.安上がりな経営者の保身策になりうる

 個人投資家が一致団結して株主総会で反対票を投じることは稀ですし、創業一族でない限り一人で5%も10%も株式を保有することもありません。また、過剰な優待制度を導入すればするほど優待目的の投資家が増えるため、株価が実力よりも割高になります。つまり、物言わぬ株主が増え、株価が大暴落しにくいのですから、経営陣が責任を追及され会社を追われることなどほとんど起こりえないのです。こんなに安上がりな保身策は他にはないでしょう。

 

 「それでもいいじゃない、個人株主が喜ぶんだから」という声もあるでしょうが弊害の大きさも決して無視はできないのです。 続く