結局、株主優待は投資家のためにはならない

 先日の続きです。私は株主優待制度が必ずしも投資家のためにはならないという考えていますので、自説を紹介したいと思います。

 

1.株価が割高になり適正な株価が誰にもわからない

 これが一番問題だと思います。優待券目的の株主が少しくらいいても大きな問題にはなりませんが、20~30%にも達すると弊害が目立ってきます。わかりやすく言えば、株価が過大評価されてしまいます。

 投資で失敗しないための大原則は「適正価格よりも割安な価格で買う」ことですが、適正価格がわからないと「適正価格よりも割高な価格で買う」ことになってしまいがちです。

2.株主優待制度は意外と見直しが簡単 

 経営責任にまでなりかねない配当の減配や無配というのは、経営者にとって勇気のいる大きな決断ですが、株主優待制度の見直し(改悪、廃止)はそれほど大きな決断ではないと思われます。

 配当を減らす場合はほぼ間違いなく業績不振が原因ですから責任を追及される可能性があります。一方、優待制度の場合は、「他の投資家とのバランス」など経営不振以外の理由をこじつけることもできますし、機関投資家からは評価される場合が多いので大きな問題にはなりません。現に年に何銘柄かネットで「改悪」が話題になっています。

3.株主優待の見直しによって株価が大きく変動する

 優待制度を見直したことを理由に株価が大きく値下がりするケースがみられます。例えば、昨年の7月にヴィレッジヴァンガード社(以下V社)が優待の内容を見直したところ、株価が1600円台から1200円台まで急落しました。1.に書いたようにもともと割高になっている場合が多いので、ちょっとしたショックで株価が大きく下落してしまうのです。

 ちなみに、V社の場合、運営店舗で利用できる買い物券1万円分を「無制限に使用可能」から「金額2000円ごとに1枚(1000円分)まで」と利用制限をかけただけです。この程度の話で株価が25%も下落するなんて理解できません。 

 優待で得した気になっても価格が暴落するようでは本末転倒もいいところです。

4.無能な経営者が居座る可能性がある

 前回書いたとおりなのて詳しくは書きません。優待だけもらえれば文句を言わない個人株主が増えすぎるとガバナンスがきかなくなります。その結果、無能な経営者が居座り続けるリスクが高くなってしまいます。 

5.個人株主が間違った方向にいってしまう

 個人株主のモンスター化といいましょうか、プチ総会屋化といいましょうか、とんでもない勘違い株主が増えてしまいます。実際に、株主総会や投資家説明会の場で株主優待制度を導入しない経営者を叱責するようなバカ者もいますし、優待送付の際の小さなトラブルに対して延々とクレームをつけ続けるクレーマーのような株主も出てきます。(具体的には書けませんが、私が在籍した会社である食品会社の株主優待のバックオフィス業務を受託した時に、信じられないようなクレームが数十件寄せられました)

 質の悪い株主が増えることは、会社にとっても善良な株主にとっても迷惑以外の何物でもありません。

 

 私の大好きな経営者の一人であるSHOEIの山田会長は「優待制度には無駄な費用が掛かり、結局は個人投資家のためにならない。当社はそんな制度は導入しない。その代わりに利益が出たら必ず配当で還元します」と言い切っています。そんな正論を堂々と言える経営者を応援したいと私は思います。