株式投資家が「不動産、不動産、不動産」!?

 株式投資家の間で不動産投資に対する関心が高まっているのでしょうか。肉食系投資家が多い証券会社の投資セミナーだけでなく、草食系が多いとされる直販系投資信託のセミナーなどでも「不動産投資はどうでしょう」「今、J-REITは買い時でしょうか」という質問を耳にすることが多くなりました。

 

 昨年までは不動産がらみの質問は皆無でしたがここ数か月急に増えてきたように思えます。質問される方の大半は年配の方です。アベノミクスで順調だった株価が足踏みになり、この後もしばらく大幅な上昇が見込めないので不動産に興味を持ち始めたのかもしれません。

 昔から不動産投資をしている人は株式セミナーに参加してこんな質問をすることはありません。おそらく、質問される方の大半は今まで株式投資の経験しかない、不動産投資の初心者でしょう。

 質問を受けた講師は、みな判で押したように「今は買うことはお勧めできない」と回答されています。お勧めしない理由もほぼ共通していて、
 ・金利は中長期的には上がる方向であること
 ・物件の価格は適正な水準の上限かそれより上の水準であること
 ・長期の経済環境・人口動態から不動産神話が復活する可能性がないこと
 ・金融庁が不動産ローンに対しての監視を強めていること
を挙げられています。とても適切なアドバイスだと思います。

 

 古今東西、あらゆる投資ブーム(その究極がバブル)に共通することですが、初心者が大挙して投資市場に押し寄せたときにブームはピークを迎えます。現在はまだ活況が続く不動産市場ですが、私にはもう8~9合目まで来てしまったのではないかと思っています。あと、1合しかない頂を目指すべきか、その先に続くであろう長い下り坂を警戒すべきかといえば答えは明らかでしょう。

 

  株式投資にも不動産投資にも当てはまる、永遠に不滅な黄金律があります。「良いものを安く買え」。不動産投資は物件が安いのか、本当に良い物件なのかそれがすべてです。いくら節税になるとか金利が安いとか言ってもそれは"おまけ"にすぎません。

 今はおまけの部分を強調して売りつけようとする不動産関係者ばかり目につきます。理由は簡単、安くてよい物件はもうほとんど売れてしまって出回っていないのです。だからおまけを強調したり、老後不安をあおって売りつけるしかないのです。こんなときに投資を始めてしまっては、投資が成功する可能性は非常に低くなってしまいます。

 

 私はお勧めしませんが、それでもどうしても不動産に投資したくてたまらない人は、J-REITの中で分配金利回りが低く流動性の高い銘柄を少しだけ買えばいいでしょう。くれぐれも分配金が高すぎるものには近づかないように。分配金利回りが6%を超えるようなものもありますが、それらにはそれなりのリスクがある可能性が高いからです。

 

 最後にもう一度強調しておきます。今から不動産投資を始めることは99%の人にとって負け戦です。わざわざ負け戦を仕掛ける必要はありません。