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株式市場におけるバブルの見分け方 その1

 昨日の記事で「バブルが始まっているとは断定できません」と書きました。過去のバブル期に共通して見られた「投資する多くの人を強く惹きつける新しいストーリー」と「お金が有り余っている」の2つはもうすでにそろっていると思います。でも、バブルが始まっていると私が確信するためには、あと2つが条件が必要なのです。

 

 まず一つ目は、「とんでもない会社の株価が上昇し続けること」と「株価の割高・割安の判断をするために、とんでもない指標が生み出される」ことです。「とんでもない」は密接に関連しています。利益が全く出そうにない会社や潰れそうな会社のバカみたいな株価を正当だと言い張るためには、とんでもない指標が必要だからです。

 

 1989年のバブルの頃には、土地持ち企業、とくに首都圏湾岸部に土地を持っていれば、斜陽産業の借金まみれでつぶれそうな会社であっても信じられないような株価がつきました。当然、PERやPBRなどという従来の指標では説明がつきませんでしたので、「Qレシオ」というものが使われました。

「Qレシオ」

株価を1株あたりの実質純資産で除したもの。PBR(株価純資産倍率)の派生指標であり、帳簿上の純資産に含み損益(簿価と時価の差額)を加減算して計算される。簿価ではなく時価に着目しているため、QレシオはPBRに比べて優れているが、分析対象の含み損益を把握するのに限界があるのが難点である。

 資産を売ってもいないのに、売却益(しかも売却益に対する税金を無視)を計算し、純資産に足して計算するのです。単なる「とらぬ狸の皮算用」ですよね。

 

 また、ITバブルのときには、もっと斬新な指標が登場しました。

PSR:株価売上高倍率

時価総額を年間売上高で割って算出する。これとよく似た指標に「PER(株価収益率)」があるが、その代用指標として使われる。ということは、「利益」の出ていない企業用の指標であって、ある意味、PSRが使われること自体、リスクを孕む投資である。

 もう呆れを通り過ぎて笑ってしまうレベルです。株式投資の基本である利益を無視して、売上高で株価の割高・割安を評価しようと指標なのですから。

 

 二つとも、素人が一目見てもとんでもないことがわかるような指標です。今、「Qレシオが割安だとか」、「PSRからみて今が買いのチャンスだ」なんていうと「この人、大丈夫?」と思われるはずですし、この言葉を信じて投資する人は皆無です。でも、当時は、みんな値上がりする株を探すのに血眼になって、冷静な判断ができなくなっていましたから、こんな指標を真に受けて売買していたんですよ。

 その結果、投資家がどのような目にあったかはご存じのとおりです。

 

 ところで、現在はまだそんな新しい指標がひねり出されたという話を耳にしていません。つまり、今の株価は従来の株価指標では割高かもしれないけど、楽観的な前提条件を付けるとまだ何とか説明がつくレベルの割高さなんだと思います。

 これがPER数百倍とかPBR数十倍とか、誰が見ても既存の指標で説明するのは無理でしょうという会社がたくさん出てくると、きっと頭のいい人がAI時代に相応しい指標を生み出すはずです。その時は、正真正銘のバブルです。