地方銀行と地方経済の行く末を案ずる

 先日、ある大手地方銀行のIR説明会に参加しました。あまり期待せずに参加したのですが、その期待を大きく上回る(下回る?)内容に、残念な気持ちを抱え家路に着くことになりました。 


   金融庁が各地銀に猛烈にプレッシャーをかけているので、大手地銀ならそれなりに危機感を持ち、手を打とうとしているのではないかとかすかな望みを持っていたのですが、見事に打ち砕かれてしまいました。

 

 結論から言えば、当事者意識がゼロで、かつ顧客満足や地方経済活性化などという観点のかけらもないというこひとが明らかになりました。厳しい言い方をすれば、自分がトップである間だけはなんとか現状維持かジリ貧であればいいという本音が見え隠れしていたという感じです。

 

 ここで「地方銀行に明日はない。以上」といって終わってしまってもいいのですが、せっかく説明会に出席したので気になった点を書き残しておきたいと思います。

(よかった点)

・頭取自らが登壇し、一人で説明をした

 →経営者としての資質がよくわかりました。経営者マインドはゼロ。

(ダメだった点)

・ほとんど下を向いて原稿をそのまま棒読みしていた

 →原稿に目をやってもいいとは思うけど、投資家の方をほとんど見ていなかった。つまり投資家に自分の思いを伝えたいという気持ちがゼロ。

・自分の言葉を一言も使わなかった

 →一言一句間違えないように必死に棒読みしていました。余計なことを言ってはいけない、ミスしてはいけないという役所体質が全開。

・独自の経営戦略がない

 →はっきりいって、表紙の銀行名を差し替えたらどこの地銀でも使えるほど汎用性が高い(つまり独自戦略は皆無)

・コスト意識がゼロ

 →ホテルの会場を借り切ってお茶にお菓子、帰りにはお土産までつけてくれましたが、これで当行はローコストオペレーションと自慢されても悪い冗談にしか聞こえない

・個人から手数料をぼったくり生き残る

 →地元の高齢富裕層に相続税対策などの指南(早い話が、不動産会社と組んでアパート建築)、現役世代には手数料のクソ高い生命保険と投資信託を売りつけ、低所得者層には積極的にカードローンを提供しますって、金融庁が聞いたら怒るような内容のオンパレード。これで地域密着、顧客本位の地域一番行とは、これいかに。

・質疑応答の時間がゼロ

 →説明だけすると逃げるように会場を後にしました。普通、質疑の時間を設けるか、その場に残って個別に質問を受けるものですが、そういう発想は皆無。さすが大手地銀さま。

  

 ということで、本業の融資をどうするのか、マイナス金利をどう乗り越えるのか、地域経済の活性化にどう取り組むのかなんて話は最後まで聞けませんでした。

 

 大手地銀ですらこの状況ですから、人口の少ない県の地銀や、大都市を抱える県内の二番手以降の銀行に至っては・・・想像するだけで気持ちが落ち込みます。

 地銀同士の経営統合が増えていますが、統合を機にまったく違う銀行に生まれ変わるくらいのことをしなければ、所詮は弱者連合ですので淘汰されるまでの時間を稼ぐだけに終わってしまうのではないでしょうか。少なくともこの地銀はその道をたどりそうな気がします。

 

 投資の対象として地方銀行に魅力がないというだけなら大したことはないのですが、地方経済を支えるべき大手地方銀行がこのような状態では、10年後、20年後の地域経済はどうなってしまうのでしょうか。