今から不動産投資を始めてはいけない理由

 今でも町中に「今が不動産の買い時です」という宣伝文句が溢れています。でも、私が社会に出てから30年、一般消費者や不動産投資初心者に対して「今は買ってはいけません」とか「今は待ちが正解です」という宣伝を一度たりとも見たことがありません。

 振り返れば、平成に入って以降、本当に買い時だった時期は、平成の金融恐慌やリーマンショック直後のほんの数年しかありませんでした。不動産業界が、いかにお客様本位と正反対の業界かがよくわかります。

 

 知り合いの中の不動産仲介関係者や大手金融機関の融資担当、ハウスメーカーの営業、誰に聞いても、「今買っていい人は、経験が10年以上あり、いざという場合に数千万円の現金をすぐに用意できるお金持ちだけだ」と口をそろえて言います。そして、「そう遠くない将来、価格調整が訪れるはずなので、初心者は手元に現金を貯めてじっと待つのが正解だ」とアドバイスをしてくれます。

 

 私は、不動産の購入経験が一度しかありませんので、市況について分析しコメントできる立場ではありませんが、株式市場や金融市場の状況を見ても、彼らの言っていることが正しいと思います。それを裏付けるように、状況証拠もたくさん見つかります。 

転売屋の急増
 個人から買い取り即第三者に転売するサンタメ業者や、個人から安値で買い取り少しリフォームして個人に高く売りつける業者が増えている(買取業者のチラシがやたらと目につきます)

新興不動産会社や新興・外国系J-REITの上場ラッシュ
 社歴の浅い不動産会社や相対的に資産の質が劣るREITの上場が続きました 

詐欺師
 金のあるところに詐欺師あり。先日も積水ハウスが60億円の詐欺に遭ったと報道されていました。地面師などと言う死語が復活!

グレーな融資
 銀行から高い融資を引き出すために、賃貸収入を水増しした事業計画書を作成したり、偽の契約書を銀行に提出したり、投資用なのに住居用と偽り住宅ローンを組むなど、黒に近いグレーな取引を指南するコンサルや不動産関係者が増えている

地方都市への投資資金流入
 東京より利回りがいい、海外の主要都市より利回りがいいという理由だけで、土地勘のない首都圏やアジア圏の人から投資資金が流入し、理解できない価格がついている(かれらは現物を見ずに買う)

首都圏マンションの価格がピークを迎えた
 どんなに市況が良くても、一般サラリーマンが買えない価格は長続きするわけはない

地方銀行の不動産融資傾斜
 貸出先に困った地方銀行が、賃貸不動産業者とタッグを組んで素人を不動産投資に誘導している。また、融資を実行するために、不動産の収益よりも給与所得などの融資属性を重視している

日本銀行から指導が入っている
 融資時の審査のうち、収支計画の将来の賃料収入・大規模修繕に甘い点があることを問題視している。給与収入などを返済のあてにした融資をしないように指導している

夜の色っぽいお店の声(←これ意外と重要)
 業界に20年以上いる男性や10年以上在籍しているベテランのお姉さんから不動産関係者の羽振りの良さ(厳密には、成金特有のバカな金遣い)が目に付くという話をよく聞くようになった

と、ここ1年以内に新聞や経済誌などで話題になった話だけでこれだけあります。いずれも平成のバブルや2006年のファンドバブルのときとそっくりです。

 もちろん、当時と異なる点もいくつかあるのですが、ここまで似ているとあとは何か大きなきっかけさえあれば、大きな価格調整が始まることは間違いないでしょう。ただ、それが今年なのか、2020年なのかは誰にもわかりません。

 

 今は、過去のバブルの歴史を振り返り、教訓を学び、買い時をひたすら待つことが正解だと私は思います。ここ数年で数億円の資産(と同額の借金)を築いて有頂天になっている人の言うことはあまり信じない方が賢明かと思う次第です。