ベーシックインカムという危険な制度について

 全国民に生活に必要なお金を一律に配るという夢のような制度が、今また話題に上がっています。確か、民主党が立ちあがった時に言っていましたし、共産党も口にしていた時期があります。今また、希望の党が選挙公約として掲げています。

 

 確かにベーシックインカム(以下、BI)には、「制度が簡素で公平」「肥大化した行政をスリムにできる」といったメリットがあります。でも、メリットをはるかに上回る解決が困難な問題が山積しています。

 

 最大の問題は財政の問題です。国民年金並みの額を全国民に支給すれば100兆円が必要になります。BIを導入すると国民年金雇用保険生活保護などの制度が廃止されるのでこれが財源の一部になりますが、残念なことに30兆円弱しかありません。

 不足する70兆円をどうすればいいのでしょうか。消費税、所得税法人税などすべての税を現在の2倍にしてもまだ足りません。BIで不要になる組織を廃止し、そこで働く公務員を全員解雇すれば数兆円浮きますので、あと少しで辻褄が合いそうですが、そんなことは不可能でしょう。

 

 財政以外にも深刻な問題があります。だれを対象にするかという問題です。国籍で判断するにしても、住民票で判断するにしても問題が生じます。国籍で判断すると、税金は払うのにBIが受給できない外国人差別の問題が起こります。住民票にすると、偽装結婚などでBI目的で来日する外国人が急増するでしょう。

 

 また、働いても高い税金を取られるだけですから、間違いなく勤労意欲が低下するはずです。机上論では「もっと豊かになりたいという衝動があるので怠け者は増えない」ということになっていますが、悟り世代の行動や金のためにしかたなく働いている人たちをみていると、「怠け者は増えない」なんてことはあり得ません。

 さらに、BIが未来永劫続くとはだれも思わないでしょうから、BIを受け取ってもお金を使わず貯金してしまう人が多いでしょう。 

 労働力が減少し、お金も銀行に滞留してしまえば、日本の経済はますます活力を失い、競争力が低下してしまいます。その結果、今より確実に経済は縮小してしまいます。すると、税収が減ってしまいBIの維持が難しくなります。

 

 地縁・血縁などの強いきずなが存在する貧しい離島や集落であれば、譲り合い助け合うことで、BIが成り立つ可能性はあると思いますが、国のような大きな単位ではとても成功するとは思えません。BIは理念としては理想的に見えますが、いざ実施すると過去の社会主義共産主義と同じですぐに破綻してしまうでしょう。

  ということで財政問題でつまづくと財政破綻、それを乗り越えたとしても国全体が徐々に確実に衰退していく制度と言わざるを得ません。BIは(もちろん、得する人もいますが)国民全体を今よりも不幸にする制度だと私は思っています。

 

 それにしても、こんな危険な制度を深く検討もせずにツルの一声で選挙公約にしてしまう党が現れるとは夢にも思いませんでした。まあ、選挙結果にかかわらず、すぐにBIが導入されることはないでしょうが、こんな公約に支持が集まるようなら日本の将来はますます暗いものになると私は思います。

 

 今まで以上に、自分の身は自分で守るしかないと強く思う今日この頃です。