サラリーマン大家の99%が失敗する理由

 とある中古ワンルーム投資を激オシする意識高い系の方が近々「99%失敗しない」不動産投資法についての書籍を発刊されるようです。なんでも「●●式メソッド」とかいうタイトルがついているようでして、どんな画期的な投資法を開陳されるのか、発売を楽しみにしたいと思います(絶対に購入しませんが、書店で立ち読みくらいはする予定)。

 まあ、この期に及んでまだそんな本を出すのかと、著者の強欲さには呆れ果てるばかりですが、嘆いてばかりでは仕方ありませんので、先んじて私の考え方を書いておこうと思います。

 

 

 仮に私が、不動産会社やかれらの広告塔の方が開催するセミナーに参加したり、書籍を読んで大家デビューする気になったとしましょう。すぐに私の元へ不動産会社の営業マンがやってきて、物件を紹介するパンフレットや損益シミュレーション表を基に熱心に購入を勧めてくれるでしょう。

 そこには東京の新築なら4%、中古なら5~6%の(表面)利回りが得られる物件が紹介されているはずです。投資初年度からわずかではありますが黒字を計上し、ローンの返済が終わる25~35年目以降は年金代わりに賃貸収入が安定的に入る計画になっているはずです。

 さらには、「金融機関は紹介します」、「管理はすべて弊社が行い大家さんはいっさい手間がかかりません」と魅力的な文言が書かれているはずです。

 

 これならば年金不安も解消できそうだと喜んでしまいそうですが、実際にはそんなハッピーエンドを迎えられる大家さんは一握り、おそらく1%に満たないでしょう。つまり99%の人はこんなはずではなかったと後悔することになります。

 なぜかといえば、シミュレーションがあまりにもバラ色の前提のもとに作成されているからです。このとおりになるためには、いくつもの前提条件をクリアしなりません。ざっと思いつくだけでも10個くらいは出てきます。

 例えば、

 ・購入する物件の価格が妥当であること
 ・家賃収入が下がらないこと
 ・空室率が一定であること
 ・管理費・その他経費が値上がりしないこと
 ・所得税や土地関連の税制が変わらないこと
 ・管理会社の管理水準が平均以上であること
 ・借入金利がずっと上昇しないこと
 ・返済が終わるまで物件の価格が下がらないこと
 ・給料が下がらないこと
 ・日常修繕、大規模修繕費が予定どおりの金額に納まること

 などが挙げられます。

 

 残念ながら、これらの前提条件がローン返済終了までの間ずっと満たされ続ける可能性は非常に低いと言わざるを得ません。

 話を単純化するために、それぞれの条件を満たす確率をかなり楽観的に見積もって50%と仮定しましょう。

 前提条件をすべて満たす確率は、50%×50%×・・・50%×50%<0.1%
おめでとうございます!99%どころか99.9%シミュレーションどおりに進まないことが分かりました。

 つまり業者が提示するシミュレーションなんて所詮絵に描いた餅にすぎないのです。これを自分でエクセルに入力し直して、金利が1%あがったら・・・、家賃が年平均0.5%低下したら・・・と自分で計算してみてください。おそらく背筋が寒くなり、借金してまで投資を始めようという気持ちはなくなるでしょう。(ここまで言っても、いや俺なら大丈夫と思う方は止めはしません。人生をかけて一大勝負に出てください。ただし、割に合わないギャンブルだということだけは保証します)。

 

【注意事項】

・書籍はまだ発売されていませんので、書籍の内容について論評、批判しているわけではありません。不動産投資に関する一般論を書いたものです。

・私が書いている内容は、ごく一般の善良なサラリーマンのうち、これから大家デビューを果たそうとしている方、最近デビューしてしまった方を対象にしています。