セミナー全盛時代にバブルの香りを感じる

 私の記憶をたどると、ここ数十年、日本では10年前後のサイクルでバブルが発生しています。1988年頃からの元祖バブル、1998年頃からITバブル、2006年頃の不動産ファンドバブルなどです。

 

 バブル規模や発生から崩壊までのプロセスはそれぞれ異なりますが、投資経験の浅い人が二流マスコミや三流週刊誌、四流以下の自称専門家・アドバイザー・セミナー講師に騙されて市場に大挙して押し寄せ、その直後に崩壊した点は共通しています。

 最後のバブルから約10年たった今、過去のバブルと同じ香りが漂ってきていると感じるのは私だけではないと思います。昨今のアパート・マンション投資や仮想通貨投資の活況ぶりを見ていると、局地的にはすでにバブルが始まっているといえるでしょう。

 ただ、過去のバブルと比較すると規模は小さく、一部の銘柄を除き株式市場は加熱している程度でバブルにはほど遠いことなどから、経済全体から見ればまだバブルではないと思います。本当のバブルに突入するか、正気に戻って正しい道へ戻るのかの分岐点に差し掛かっているところではないでしょうか。このあと、どのような道をたどるのかは神のみぞ知るです。


 過去のバブルでは短期的に大成功し億万長者になった投資家がたくさんいらっしゃいます。多くは社会経験の少ない若者であったり、一介のサラリーマンでした。彼らはみんなに先駆け投資をはじめ、大きなリスクを取り、幸運に恵まれて成り上がっていきました。

 自分の身の回りにいるようなごく一般の人たちが成功していくストーリーは、多くの人の共感を呼びやすいため、格好の商売のネタになります。周囲やマスコミにおだれられ踊らされた彼らは、本を出版し、投資教室やセミナーを開き、マスコミに登場して一躍時の人になりました。

 あれから10年以上の年月が過ぎました。残念なことに、今となっては彼らの名前を聞くことはありません。ほぼ全員華やかな表舞台から去ってしまいました。中には引退し悠々自適の生活を送っている人もいるのでしょう。でも、マスコミはおろかネット上でさえまったく話題にならない多くの人は、波乱万丈の人生を送った末、ごく普通の人に戻ってしまったのでしょう。


 今、セミナーはブームと言ってもいい状況です。レンタル会議室の開催予定表を覗いてみると、週末はもちろん平日にもさまざまなセミナーが開催されています。もちろん真面目な会議や勉強会のようなものも多いのですが、株式・不動産・仮想通貨などの投資系もよく見かけます。

 東京ではセミナー商法を学ぶためのセミナーまで開催されているそうです。ゴールドラッシュの時に一番儲かったのはつるはしを売り、ジーンズを売った者だといわれていますが、投資系も投資で儲けるよりも投資セミナーで儲ける方がノーリスクハイリターンなのでしょう。
 
 昨今の投資系セミナーの講師の多くも、過去消えていった人たちと同様、運を実力と勘違いして数年で億万長者になった(フリをしている人も含む)人が大半なので、そんな人たちの話は聞かないほうがよいと思います。華やかな虚像を信じるよりも、地味だが地に足のついた投資方法を学ぶほうが早期リタイアや経済的自由を手に入れる近道だと私は確信しています。


 周囲の雰囲気に流されて下手に投資を始めるのも問題ですが、「まずは勉強から」と下手にセミナーに行くのも考えものです。最初に間違った道を選んでしまうといらぬ苦労をすることになりますから、投資と同様セミナー選びも慎重に行ってください。