山一証券廃業から20年に思うこと

 ここ数日、テレビや新聞で話題になっていましたので目にした方も多いと思います。もう20年ですか、時のたつのは早いものですね。

 

 当時、私は30歳を少し超えたくらいでした。1970年代の石油ショックによる経済混乱を知らない私にとっては初めての目の当たりにする金融危機であり、大きな衝撃を受けました。

 絶対に潰れないといわていた大手銀行、大手証券、生命保険会社がドミノ倒しのようにいとも簡単に消滅していく様には本当にショックでした。

 

 幸い、私自身は職を失うわけでもなく、大きな損失を被ることもなかったので、大きな痛手を負ったわけではありません。それでも、ボーナスがゼロになったり、銀行株が紙くず同然に暴落しましたので無傷ではありませんでした。

 

 この経験は私に大きな教訓を残してくれました。一つ目は「国にも企業にも依存してはいけない」ということをです。国や企業を信じ依存することは個人の自由ですが、切羽詰まった最後の最後には誰も助けてはくれないという残酷な現実を教えてくれました。

 

 二つ目は「混乱を乗り越えるために必要なのはキャッシュだ」ということです。たとえ歴史ある大企業であっても、高収益の黒字企業であっても、大資産家であっても、明日必要な現金を用意できなければ一瞬にして倒産してしまうということです。本来、支えるべき銀行側ですら自らの資金調達に苦しむようなときには手を差し伸べるどころか、貸出先が倒産するかもしれないとわかっていても手のひらを返して融資を貸しはがすという現実は衝撃的でした。

 

 三つめは「マスコミは混乱を増幅させるだけの無責任な存在だ」ということです。平成のバブル崩壊の時もそうでしたが、マスコミは危機をあおるだけあおり、政府が対策を講じようとしても反対のキャンペーンを打つばかりです。対策に反対なら対策を提案すべきですが、それは自分たちの役割ではないと言い逃れひたすら経済を混乱させるばかりでした。マスコミに限らず野党政治家や評論家も同じです。

 

 私は「自分の身は自分で守る」「自分の管理能力を超える借り入れは行わない」「専門家やマスコミの情報に振り回されず冷静に自分で判断する」、この三つができるようになれば、大きな混乱に巻き込まれても何とか生き延びることができると考えるようになりました。

 これ以降、投資について考え方を改めました。今まで行っていた短期的な儲けのための投資ではなく、リスクを抑え時間をかけて資産を殖やす守りを重視した長期投資へシフトすることにしたのです。

 

 平成の金融恐慌ともいわれた経済危機は私の投資スタイルを変えてくれただけではありません。金融行政も大きく変わりました。

 金融ビッグバンと呼ばれる大改革が始まり、なんでも規制するが業界全体を保護する護送船団方式の崩壊が進んでいくことになりました。

 その後、20年をかけて証券業界は激変し、取引コストが低下し、リートやETFなど有力な投資商品が開発され、海外株式への投資も簡単になりました。また、税制も長期投資に有利に変更され個人投資家が長期投資を行いやすい環境が整備されていきました。結果的には、危機は大きなチャンスへと変わりました。

 

 今現在、世の中にはお金があふれ、さまざまな投資商品の価格が高騰しています。株式、不動産、仮想通貨の一部は明らかにバブルの領域に近づいています。それに加えて、根拠のない楽観論が広がり、金儲け住めた目には手段を択ばないという拝金主義的な考えも広がり始めています。

 こんな時こそ、次の混乱に向けた準備を始める時ではないでしょうか。