年末調整という厄介な罠について

 12月と言えば、年末調整です。12月の給料で11月までに源泉徴収された所得税の精算が行われます。多くの人が所得税欄がマイナス(つまり税の還付)となり、懐が温かくなりつかの間の幸せに浸ることができる瞬間です。でも、これは国が仕掛けた厄介な罠でもあります。

 

 そもそも多く取りすぎた税を返してもらっているだけなのに、なぜか臨時収入のように感じてしまう人がいます。彼らは気が大きくなって、パッと飲みに行ったり、自分へのご褒美に使ってしまうことが多いようです。私の周りにはこういうタイプの人が多いのですが、みなさんお金がたまらないと常々嘆いている方々です。この罠にハマりやすい人はお金に苦労しやすい人だと思います。

 計画していた支出に使うのであれば問題ありませんが、くれぐれも気が大きくなって衝動買いしたり、計画よりも高額の出費にならないように気をつけましょう。

 

  年末調整にはもう一つ厄介な罠があります。これは身から出たさびなので自己責任なのですが、「これぐらいバレないだろう」と家族の収入などをごまかして、あとで大変なことになるというパターンです。

 会社には3~5年に一度所得税の調査が入ります。そうすると結構な割合でミスを指摘される人が出てきます。ミスが発見されると、過去3~5年ほどさかのぼって調査され、納付する税金が数十万円に及ぶことも珍しくありません。また、加算税や延滞税などのペナルティーが科されますが、これがこの低金利時代に信じられないような高率です。もし5年前の誤りを指摘されると、びっくりするような額になります。

 配偶者や扶養親族の収入をごまかしていた場合だと、税金に加え会社から家族手当などの返還を求められたり、社宅料の差額精算を求められる場合もあります。また、いわゆる130万円の壁を超えていたなら社会保険料も負担しなければなりません。

 

 お金の問題だけではありません。ミスを指摘されると、経理担当者が過去の資料をすべてひっくり返して調べ所得税の計算のやり直しをさせられます(税務署は指摘するだけで実際の作業は経理担当者がやらされます)。こんな面倒な仕事をやらされた担当者のあなたへの心証が非常に悪くなることは間違いありません。

 また、調査結果は経理の担当者だけでなく課長や部長にまで報告が行きますから、本人の信用に大きな傷がついてしまいます。特に、経理部門が人事・総務部門の一部にあるような場合は、昇進・昇進・昇給・ボーナスへの影響が出るかもしれません。

 税金をごまかそうなんて割に合わないことだと思った方がよいでしょう。

 

 確かに昔はズルをしておいしい思いをした人もいましたが、マイナンバーが導入された今では格段に発見されやすくなっています。くれぐれも「これぐらいバレないだろう」とか「みんなもやってるはず」と思わないようにしましょう。