株主優待の季節、悲劇の季節

 いよいよ3月末が近づいてきました。多くの個人投資家にとって一番大事な時期がやってきます。3月27日には権利付売買の最終日を迎えますが、これから2週間は、配当狙いの投資家に株主優待マニア、彼らの裏をかき一儲けを企もうという投機家たちの丁々発止のやり取りが繰り広げられることでしょう。

 

 マネー雑誌やネット上では年初からこの時期まで、しきりに株主優待銘柄や高配当銘柄が大きく取り上げられています。株主優待投資や高配当投資を実践する個人投資家のコメントなども紹介されています。

 限られた資金でどの会社の株をいつ買うかに頭を悩まされている方の中には、参考にしている方も多いことでしょう(誰も興味がなかったら各誌こぞって特集なんかしないですよね)。

 

 そんな気合の入った方のやる気を削ぐようで大変申し訳ありませんが、そろそろそのような投資方法は卒業されてはいかがでしょうか。とくに今から投資デビューする人は、悪いことは言いません、そんな投資は止めた方が無難です。

 雑誌に載った段階で誰でも知っている古くて価値のない情報ですから、これをみて投資すると得するよりも損する可能性の方が大きいと思います。とくに、雑誌などで紹介されているタダで優待をもらう方法は絶対に避けるべきです。なぜなら毎年多くの犠牲者が出ているからです。

     過去にも高級な餃子事件や超高級なディズニーリゾート入園券事件など数々の悲劇が生まれています(第三者から見れば喜劇かもしれませんが)。

 

 雑誌やネットの情報で簡単にただで優待を貰って得しようという気持ちをわからないわけではないですが、こんな投資方法は”繁華街で呼び込みの「かわいい子がいるよ~」の声を信じて店に入りぼったくられる酔いどれオヤジ”と同じようなものです。タダでいい思いをしようなんてスケベ心は捨ててください。

 

 

 昨年も書きましたが、株主優待は得しているような気がしますが、実は株主にとっていいことは一つもありません。無能な経営者の延命に手を貸し、数千万円から数億円の余分なコストを掛け(500円のクオカードだって、株主に届けるまでに全部で1000円以上かかるはず)、社員に無用の残業を強い、株主は割高な価格で株を購入させられてしまいます。さらには、優待制度を縮小・廃止しようものなら株価は暴落してしまいます。 

 目に見える1000~3000円程度の優待のために、その数倍の見えないコストやリスクを負っているということを覚えておいてほしいと思います。

 

 株主優待制度を導入しているほぼすべての会社は、ホームページで環境への貢献をアピールしています。でも、株主優待制度というのは、環境という観点からも大いに問題があります。

 スーパーで買える商品をわざわざきれいな化粧箱にいれて宅急便で何万人に直接配る行為は、果たして環境に優しい経営でしょうか?働き方改革に逆行しないでしょうか?何万トンの紙資源を浪費し、延べ何万人の物流関係者を使い、何キロリットルの軽油を消費しているのでしょうか。

 社長の顔写真入りで、ISO14001導入をどや顔で宣伝している会社はぜひ株主優待制度にかかっている費用とCO2排出量などの環境負荷もあわせて開示してもらいたいものです。

 

 「今年こそ株主優待投資家のウラをかいて一儲けしてやろう」と例年以上に悪魔が私にささやきます。誘惑に負けないでいられるかちょっと不安な今日この頃です。