「ESG投資」という偽善を叱る

まあ、ESG投資推しの流行りものには目のない日経新聞さまの記事ですから目くじらを立てる必要はないのですが、でも一言いいます。


 そもそもESG投資とは何ぞやという話ですが、コトバンクの解説によるとこんな感じです。

環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)に配慮している企業を重視・選別して行う投資。環境では二酸化炭素の排出量削減や化学物質の管理、社会では人権問題への対応や地域社会での貢献活動、企業統治ではコンプライアンスのあり方、社外取締役の独立性、情報開示などを重視する。

 ハイ、たいへん優等生的な定義であります。確かに企業が短期的な利益志向を強めると「俺さえよければよい」といった振る舞いをすることが多いので、そんな会社を排除していこうという理想はすばらしいものです。

 

 でも、ひねくれものの私の目には単なるはやりもの程度にしか映りません。過去にも社会的責任投資(SRI)なんてものが話題になり流行りましたが、今はもう誰も口にはしません。それとどうちがうのでしょうか?

 

 そもそも企業をESGの観点から公平公正かつ客観的に評価して投資しようという考え自体に偽善の臭いを感じます。今回の記事では、個人情報を不適切に扱ったとしてFAECBOOKがESG投資から外されたと書かれています。他にも、銃やたばこ業界も問題ありと指摘されています。でもとても恣意的な基準ですよね。

 

 なぜたばこはダメでアルコールは問題ないのでしょうか。石炭火力がダメで石油は許されるのでしょうか。銃がだめなら戦闘機や潜水艦を作っている名だたる重工メーカーはすべてアウトでしょう。

 

 もっといいましょう。過剰な日付管理で大量に食料を廃棄する食品メーカー、大手流通チェーンは環境に対して明らかに悪影響を与えています。ブラック系企業も当然問題ですから、サービス残業を直接・間接に強いる大半の上場企業や小売業、ブラックなことをしないと達成できない条件で業務を外注しているメーカー、物流事業者、ソフトウェア業界などは全部労働面からアウトです。さらに知識のない投資家に極悪商品を売りつけ食い物にするすべての金融機関、不動産関連企業も論外。タカタ、日産、神戸製鋼その他品質軽視&隠ぺいした大企業も・・・・そして誰も居なくなった(笑)

 おそらく、日本の上場企業3600社のうち、投資対象となるのは1割にも満たないでしょう。

 

 ということで、高貴な理念を持つ投資家様が上場企業を選別してあげましょうという上から目線の態度自体を偽善と呼ばざるをえません。

 

 もちろん、問題ある企業を排除しようという考え自体には賛同します。でもESGという看板を掲げて機関投資家の資金を集めて自分の商売につなげようというスケベ心自体がESG的にどうなんでしょうか。

 結局、数年経てばSRI投資のように忘れ去られるような気がしてなりません。そういえばなでしこ銘柄なんて言葉も早くも死語ですからね。ということで、ESGなんてはやり言葉に惑わされて変な投資信託を買わされないように気をつけましょう。

 

 数百億円、数千億円の運用資産を持つ機関投資家であれば、問題はあるが業績の良い会社の株を購入して、株主総会や経営陣との対話の中でプレッシャーをかけホワイトにしていくことこそが、本当のESG投資だと私は思います。