入社式で会社の将来がわかるかも、という話

 今週、多くの企業で入社式が行われました。入社式では社長の訓示が行われますが、もし自分の会社や投資している会社の社長メッセージが公開されているようであればぜひチェックしてみてください(大企業であればニュースや新聞に載っていたり、HPに出ていることもあります)。社長のメッセージを読めば経営者としての資質を判断できることが少なくないからです。

 

 去年と代り映えしない内容である、きれいな文章だが読んでも記憶に残らない、流行りものの言葉がちりばめられている(去年ならダイバーシティー、今年ならAIとか)、という類の会社は要注意。

 

 毎年同じ内容のメッセージでも会社の経営理念など全社員が共有すべきものについてであれば問題ありませんが、どこの会社でも使えるような無難で陳腐な内容を繰り返し話すようなトップは残念ながら経営者ではありません。使えないおじさん管理職に毛の生えた程度の人物といえるでしょう。

 きれいな文章だが読んでも記憶に残らない場合は、事務方が用意した文面を利用している可能性が大です。自らの言葉で伝えることを重視しないトップでは、会社の経営理念から戦略に至るまでを組織の隅々に浸透させることなんては到底できません。(こんな人物に限って「現場主義」という言葉が好きだったりして厄介です)

 はやり言葉が好きなトップも問題です。こんなトップは女性の登用が叫ばれると真っ先に「経営者に占める女性の割合」を経営目標に掲げたり、AIが話題になると(よく理解していないにもかかわらず)システム部門にAIの導入計画を策定させたりします。今年もきっと思いつきの方針や戦略で現場を混乱させていることでしょう。

 

 私、自慢じゃありませんが、事務屋歴が長かったので大小さまざまな会社でトップを傍で見てきました。親会社も含めれば軽く30人以上の方と直接話をしたり、間近で年頭のあいさつやさまざまな訓示を受けたりしてきました。

 ところが残念なことに、電気が走るような衝撃や心を揺さぶられるような感動を覚えたことは一度もありませんでした。逆に、投資家説明会や株主総会での経営者のメッセージに感動したことは一度や二度ではありません。この差は何でしょうか?経営トップの資質の差と言わざるを得ませんね。

 

 聞き手が感動するようなメッセージを発信するトップが経営する会社と、早く終わらないかなと時計ばかり気になるトップの会社では、どちらの会社に将来性があるでしょうか。答えは明らかですよね。

 

 そんな大切なメッセージですが、自分で何日もかけて訓示を考える人もいれば、ほとんどアドリブの人もいます。でも優秀な経営者は言葉の大切さを知っていますから、自分の言葉でしっかりと思いを伝えようとします。

 一方、ひどいトップは事務方に原稿を書かせて少しだけ自分で赤を入れる場合もあります(私も魂の宿っていない原稿を何度も書いていました)。残念ながら社員にメッセージを発信することをやっつけ仕事だと思っている人も少なくないのです。

 

 私は、自信を持って断言します。自分の言葉やメッセージを軽視している経営者は、まちがいなく顧客ファーストや会社ファーストではなく自分ファーストです。 

 自分ファーストの社長が二代、三代続くような会社であれば、従業員も投資家も不幸になる、と私は思います。もし運悪くそんな会社の従業員や株主になってしまったら、定年まで勤めようとか株価が元の水準に戻るまで保有しようなんて考えない方が賢明です。 

 

  会社は経営トップ次第。規模も利益も経営者の器よりは大きくはならない!