早期リタイア実現の可能性を高める方法について

 4月になりました。街には新入社員が溢れています。また、春の異動で新しい職場に配属になった方も多いことでしょう。ところで、みなさんは経理部門配属の辞令を受け取るとどんな気持ちになりますか。多くの人は素直には喜べないのではないでしょうか。

 

 私は新入社員のとき最初に配属されたのが経理部でした。その時の営業の先輩から掛けられた言葉が忘れられません。「おまえ、経理に配属になったのか。かわいそうに」

 当時、経理部とはそんなイメージで見られていました。あれから30年近く経ち、少しは印象が良くなったかもしれませんが、それでも営業や企画、マーケティングといった華やかな部門と比較すると地味で暗いイメージを払しょくすることはできません。

 

 でも、一介のサラリーマンだった私が、紆余曲折ありながらも40代で早期リタイアを実現できたのは、経理部に配属されたおかげです。社内的には憐れみの目で見られたり、敵対視されることも多いのですが、経理を真面目に勉強し知識と経験を身につけると、そんなデメリットと比べ物にならないほど、得られることが多いものです。

 

具体的にどのようなメリットがあるのかというと、 

1.財務諸表が読めるようになる。

 相手企業の与信、自分の会社の業績、自分のお金の管理などに役に立ちます。特に損益とキャッシュフローの違いなどは投資をする場合には不可欠な知識です。

2.企業活動が手に取るように変わる。

 研究開発からアフターサービスまであらゆる活動にお金が関係します。伝票を隅々までチェックしたり、伝票に添付されている稟議書や資料を丹念に読んでいると会社で何が起こっているか手に取るようにわかるものです。株式投資をするうえで役立ちますし、自社の将来性を知る上でも貴重です。

3.ファイナンスの知識がつく。

 銀行がどこを見て何を考えて融資の額や条件を決めているのかがわかります。適切な借入金額、よい借入条件(金利など)を引き出すための交渉術や資料作りのコツなどは家を買う場合や不動産投資をする場合に大いに役立つでしょう。

4.経営トップと接する機会が増える。

 決算や予算を報告したり、分析結果を説明したり機会が得られると、経営トップの本音がよくわかります。ふだんメッセージで美辞麗句を並べているトップが実は腹黒く自分中心にしか物事を考えていないとか、その逆で意外といいおじさんだったりとかがわかります。カネの話には人間の本性が表れやすいものです。

5.お金に関するメリハリが身に着く

 決算では1円までこだわりますが、予算であれば1万円、100万円単位で数字を追っかけます。木を見て森を見ずやその逆にならないように、バランスの取れた数字の味方ができると思います。

6.税金の知識が身に着く

 税金がコストであるということが実感できます。いかに自分でコントロールして節税するかを考える習慣が身に付きます。会社を辞めた後は誰でも税金や社会保険を自分でコントロールしなければなりません。この巧拙で(資産家や高給取でなくても)生涯で数百万円の差はつくでしょう。

7.投資採算計算ができるようになる。

 設備投資をする場合、何年で回収できるのか、投資収益が資本コストをどれだけ上回るかなど、学校でも実生活でも習わないことを学べます。あらゆる投資をするうえで、資金の将来設計をするうえで採算計算をする、しないでは大きな差が生じるでしょう。

 

 勉強すべきことは多いですが、お金をもらいながら、生涯役に立つ知識がたくさん自分のものにできるのですから、これほど素晴らしい仕事もあまりないでしょう(ただし何の目的意識も持たず毎日伝票とにらめっこしているだけでは、苦痛で仕事が嫌になること請け合いです)。

 

 もし不本意ながら経理部門に配属された人がいらっしゃれば、腐らずに前向きに考え、知識を吸収してください。

 早期リタイアの実現する確率を高めるためには、経理の知識は必ず必要だと思います。