「よい借金、悪い借金」という愚かな考えについて

 不動産系の本やブログには必ずといっていいほど「よい借金、悪い借金」という考え方が登場します。また「借金をしてはいけない」という人々(特に高齢者)の中にも「住宅ローンだけは例外」と思っている方が多いようです。

 

 この考え方はとても危険なものだと私は思います。お金に良い、悪いが存在しないように、借金にも良い、悪いなんてありません。どのような形式や目的であれ、借金である以上「将来の弁済を約束した上で、金銭を何らかの目的に使用するために借り入れること」です。それ以上でも、それ以下でもありません。

 

 と、法律上の正論を言ってみたところであまり意味がないことは私にもわかります。なので、借金の良し悪しについて考えてみたいと思います。

 

 「良い、悪い」と色を付けようとするには理由があります。一つは借金が危険なので近づくなという考え方に基づくもの、もう一つは借金は避けるべきもの、怖いものというイメージを崩し、借金に対する心理的抵抗感をなくそうというものです。

 前者は(保守的すぎる)賢者の知恵、後者は金儲けしたい人たち(金融や不動産・建築業界関係者および税理士などの一部士業、コンサル屋やセミナー屋など)の悪知恵といってもよいでしょう。

 

 他人の借金で飯を食う人ほど「資産として残るものを買うための借金はよい借金」、「消費して何も残らないものを買うための借金は悪い借金」などといいます。

 

 もっともらしく聞こえますが、これは根本的な考え方が間違っています。資産購入の借金は善、消費のための借金は悪と二元論でミスリードしている段階で悪質と言わざるを得ません。資産購入の借金にも悪はあり、消費のための借金にも善はあります。

 資産購入の借金が善ばかりでないことは、いま問題になっている「かぼちゃの馬車」問題を見れば明らかです。逆に、結婚式の費用を借りたり、奨学金を借りることは(正しく行えば)よい借金となります。

 

 私に言わせれば、自分で正しく管理できるのであれば良い借金、できないのであれば悪い借金です。

 

 ただしく管理できるとはどういうことでしょうか。小難しくいえば、会計の基礎的な知識があるかとリスクマネジメントという考え方を持っているかです。

 基礎的な知識とは、家計簿をつけるレベルではなく、長期的な収入・支出のシミュレーションを自分で立てて、その結果が自分の資産・負債にどのような影響を与えるかや一度立てたプランを定期的にチェック・見直しのできるスキルがあるかどうかです。

 リスクマネジメントとは、失業、病気、災害、結婚・離婚、金利上昇などの人生のさまざまなライフイベントやリスクが発生した時にどのような影響があり、それにどう対応するかをあらかじめ考え、シミュレーションしておく能力の有無です。

 

 このように考えれば、借金をすることは事業を行うことと同じくらい大変だとわかるでしょう。ここまで考えて借金している人はどれだけいるでしょうか。おそらく10人に一人もいないでしょう。

 そのくらい困難なことにチャレンジしているという自覚と覚悟を持って借金をしてもらいたいのです。業者の悪知恵に感化され、みんなもやっているから大丈夫と安易な考えで危険を冒すことだけは避けるようにしましょう。

 

 今日も上から目線でごめんなさい。でも、元経理屋のおじさんからの激辛アドバイスということでお許しください。