あなたを食い物にする「専門家に任せれば安心」

 銀行や生命保険のイメージCMで「専門家に任せれば安心」というフレーズをよく耳にします。情弱なカモをもっとも効率的に釣る最強のパワーワードです。

 

 確かに知識も経験もない素人がいきなり資産運用を始めるとろくなことはありません。だから専門家に任せれば安心と思ってしまうのですが、これではわなにはまってしまいます。

 「専門家か専門家でないか」と「安心か安心でないか」は直接関係ないのです。つまり、専門家に任せても安心でない場合がある(むしろその方が多い)ということです。

 

 今回のかぼちゃの馬車騒動がその典型例です。専門家が作った収支計算を信じ、専門家から勧められた物件を、専門家とサブリースし、専門家に管理してもらい、そのお金は専門家からお金を借りたわけです。その結果は悲惨なものでした。

 同じような例はいたるところにあります。退職金で一時払い外貨建て終身保険やレアル建て毎月分配投信を買った人、証券会社から安心確実といわれ一日にして価格が96%下落したETNを買った人、相続対策でアパートを建てたら節税額の何倍も損をした人、税理士に任せたのに節税に失敗した人・・・・専門家に任せたのにあとから「こんなはずじゃなかった」と後悔している人が日本中に何万人も何十万人もいます。

 

 本当に「専門家に任せれば安心」といえるためには、あなたが自分にとって最適な専門家を見つけ出す目を持ち、その専門家を適切にコントロールできなければなりません。さらに自分の要望を正確に伝え、わからない点を的確に質問するコミュニケーション能力も必須です。

 

 「そんなこと無理に決まってるだろ」とお叱りの声が聞こえてきそうですが、資産運用に限れば代替策があります。

 株式投資であれば世界中の株式に投資するインデックスファンドを毎月定額購入すればよいでしょう。保険であれば掛け捨て型の生命共済や企業団体保険+損害保険(火災保険、自動車保険)+賠償責任保険(特約でよい)に入り浮いたお金は使わずに貯金すればよいでしょう。不動産についてはほとんどの人にとって不要です(特に自宅を持っている人、将来持ちたいとかもうひと)。どうしてもいうのであれば良質なREIT投信を定額購入してください。

 1億円の資産を築きたい人や成金になりたい人には不向きかもしれませんが、まじめに働いている人が将来の不安を軽減するためであれば、ご紹介した代替策がお勧めです(つまり80~90%の人にとってはベターな選択)。

 

 ただ資産運用以外の場でも専門家に頼らざるを得ない場面が必ず訪れます。その時にカモにされたり、意図せざる結果を招かないために最低限の準備は怠らないようにしたいものです。

 必要になった時に慌ててネットで調べるとウソ情報に振り回されたり、 「専門家に任せれば安心」というセールストークに騙されたりするものです。

 常日頃からコミュニケーション能力を磨き、人間関係を構築し、情報のアンテナを張り巡らせれば、最悪な専門家に引っかかることだけは避けることができるでしょう。

 

「専門家に任せれば安心」という言葉が一番危険