経理屋からみると不動産投資は超ハイリスク

 私の個人的な考え方であるということをはじめにお断りしておきます。だから無条件に納得したり、感情的に反発しないでください。世の中には、このような異質な視点もあるんだくらいに思ってお読みいただけると幸いです。

 

 世の中では、不動産は債券よりもリスクが高く、株式よりもリスクが低い、ミドルリスクミドルリターンの投資として位置付けられています。私が学んだFPの教科書にもそのように書かれていましたと記憶しています。

 

 でも私は、不動産投資は株式投資に負けないくらいハイリスクハイリターンな投資法だと考えています。

 理由はいくつかあります。まず取引コストが高い、二つ目に流動性が低い、三つ目はレバレッジが高くなる、そして最後に固定費の比率が高いコスト構造です。

 

 取引コストについてですが、仲介手数料、税金、融資関係費用などがあげられますが、買って売ればそれだけで物件価格の1割くらいが消えてしまいます。
 次に流動性ですが、不動産はひとたび買い手がいなくなると希望する価格での売却が非常に困難になります。もし早く売却したいのであれば足元を見られ希望価格の2、3割引きで手放すことになりかねません。

 この二つから不動産投資は、一般の投資家にとって短期売買には不向きな投資方法であることがわかります。

 

 まだあります。不動産投資は通常銀行から融資を受けます。時には自己資金の10倍以上の借り入れを行いレバレッジを掛けますが、これも資金管理を間違うと一瞬で詰んでしまうことになりかねません。まさしくかぼちゃの馬車がその事例です。


 ここまではよく言われる不動産のリスクです。最後にもう一つリスクがあります。それはコスト構造です。
 不動産のコストは売り上げがゼロでも発生する固定費の塊なのです。コストに占める変動費がほとんどゼロで固定費が80%以上、場合によっては100%近くに達します。

 つまり限界利益率がむちゃくちゃ高いということです。ですから売上高(賃料収入)が損益分岐点を超えると超えた分はほぼ丸々利益となり、逆に売上高が分岐点を下回ると途端に損益が悪化することを意味します。

 通常、このようなコスト構造の事業は借り入れを少なくすることでリスクヘッジするわけですが、不動産投資の場合はその逆でできる限り借り入れを行いレバレッジを高めることが成功のカギとされています。

 レバレッジを高くするということは金利という固定費を増やし、融資の返済という固定的なキャッシュアウトを増やすということですから、経理屋の目から見るとハイリスクな投資方法にしか見えません。

 

 もちろん、事業家としての才能があり、会計の知識があれば対処することもできるでしょうが、ほとんどの投資家は利益率を高めたり総資産を増やすという点のみに気を取られ、固定費の高さや固定的キャッシュアウトの多さという深刻なリスクに気づいていないということです。

 

 もちろん、自主管理してコストを下げるとか、投資(リフォーム、リノベーション)して家賃を上げるということはできますが、それができるのは事業として取り組む意欲と才能、的確な市場分析、借り手のニーズをよく理解しできる嗅覚、良い部屋に仕立て上げるセンスなどが必要でしょう。

 

 こういった点から考えると、セミナーで感化されてサラリーマンの片手間に運営している人たちの成功への道のりは果てしなく遠いように見えます。

 不動産投資家のみなさんには、自分の不動産投資が実はハイリスクではないのか、冷静になって検証してもらいたいと願います。