マスコミが甘やかすから、リスク不感症になる

 「河川氾濫リスクは説明義務なし」、いかにも被害者に寄り添う正義の味方、朝日新聞らしい記事です。

 被害者の方には心よりお見舞い申し上げますが、この記事には異議を唱えたいと思います。

  記事では、重要事項説明書に関する事実が書かれています。

 重要事項説明の項目は、宅地建物取引業法に基づいて定められている。たとえば津波被害や土砂災害が想定される土地かどうかは、説明が義務づけられている。一方、河川の氾濫(はんらん)による浸水リスクは、現状では項目に入っていない。

 これは問題ありません。私が気になるのはこの部分です。

 「家の購入を真剣に考えているときに教えてほしかった。知っていれば、補償を手厚くした保険に入り、家具の置き方も違ったと思う」

  被害者の方の声(しかも都合よく切り取った声)を利用して、重要事項説明書の記載項目に浸水リスクが入っていないことが問題だ、入っていれば被害は防げたと暗に主張している点です。朝日新聞らしい手口で私は嫌いです。

 

  この被害者の方は「ハザードマップは、住み始めてから広報で見た記憶がある」とおっしゃっていますし、3年前の鬼怒川の氾濫のこともご存じだろうと思います。

 健全なリスク感覚を持っていれば、ハザードマップや鬼怒川のニュースを見た段階で他人ごとではないと思い、何らかの対策を打つはずです。でも、それをしなかったということは、たとえ重要事項説明書に書かれていたとしても対策は打たなかっただろうと思われます。

 誤解しないでいただきたいのですが、私は被害者の方を責めているわけではありません。ほとんどの人がこの被害者の方と同じであり、リスク不感症になっているということを言いたいのです。そこを改善せず、重要事項説明書に記載しても何も問題は解決しません。私は逆効果になると思います。

 

 今でも不動産を購入する際に重要事項説明書を読み込んで完全に理解している人はどれだけいるでしょうか。きっと10人に一人もいないでしょう。読まれもしないものに記載しても誰も読みません。

 

 

 そもそも重要事項説明書にどこまで書けばいいのでしょうか。私は、専門性が高くて理解できない項目(各種法律~条例等)や自分で調査しても簡単にわからない項目などに限定すべきだと思います。今よりも項目を減らして、その代わりにきちんと理解させる責任を業者に課すべきだと思います(今みたいに書いて読み聞かせるだけでは不可)。

 一方、少なくともネットで簡単に入手できるような情報くらいは自分で調査し、リスク評価できるようになるのは購入者の当然の義務であるということも強調すべきです。そうしないといつまでたってもリスク不感症は改善しません。

 

 もし今回の件で洪水のリスクについて重要事項説明書への記載が決まったとしても問題は解決しません。リスクなんて無数に存在します。活断層直下型地震の震度予測、高潮、震災時の火災など自然災害に限ってもまだまだたくさんありますし、渇水、異常高温、竜巻など天候のリスクもあれば、上下水道の老朽化、交通インフラの撤退などのインフラのリスク、高齢化や人口減少による福祉サービスの縮小サービスなど無限に思いつきます。過保護にしすぎると、こんなことも全部かけなんてバカな話になりかねません。

 

 過保護にすればますますリテラシーや健全な警戒心、判断能力が失われていまい、バカが増えてしまうだけです。

 何も不動産に限ったことではありません。リスクは業者が教えてくれて当たり前という考え方に染まっているから、極悪金融商品かぼちゃの馬車みたいなのに引っかかるのです。

 

 渡る世間は鬼ばかりなのに「だまされた方が悪い」という正論を認めず、なんでもルール・規則でしばり、ことが起きると業者だけが悪いと騒ぐマスコミには、正義の味方面するほどバカが増えるということを理解していただいたいものです。

 「自分の身は自分で守れ」と健全なリスク感覚を身に着ける必要性を説くことこそマスコミの使命だと私は思います。

 

 ※あらためて西日本各地で災害に遭われた方に対し、お見舞い申し上げます。