AIによる資産運用が悲劇を生む予感-前半-

 AIを使った資産運用サービスやファンドに興味を持つ人が相変わらず多いように思います。営業トークとしては非常に便利なんでしょうが、投資家にメリットがあるかといえば、私はNoと答えます。

 もちろん10~20年後には投資家にとって何らかのメリットが出ているとは思いますけど、短期的には販売会社の手数料稼ぎのツール程度の役割しか果たせないでしょう。

 

 まあ、その程度のことであれば大した話ではないのですが、中期的(数年~10年先)には投資家全体に影響が及ぶ大きな悲劇が待っているのではないかと懸念をしております。

 

 理由はいくつかありますが、なんといっても悲劇から10年が経過したことです。過去の世界的な危機はたくあんありますが、私の記憶にある主なものは、第一次石油ショック1973、第二次石油ショック1979、ブラックマンデー1987、アジア通貨危機1997~ロシア危機1998、ITバブル崩壊2001、リーマンショック2008などです。

 危機は数年から十数年間隔で発生しています。これは偶然ではなくて必然だと私は思っています。理由は単純で、一つには経済危機に対処するため資金が過剰に供給されそれが次の危機の原因を作ることになる、もう一つは強欲は永遠に不滅であり、また喉元過ぎれば熱さを忘れるのが人間の性であるからです。

 

 現在、史上最も長期間かつ異常な低金利が続いていますし、リーマンショックから10年が経過しており年初の仮想通貨騒動や昨今の不動産にまつわるモラルの低下を見るにつけ投資家の緊張感も緩み切った状態です。市場には危機の燃料がまかれた状態であり、何かのきっかけでそこに火が付けば市場全体が大混乱に陥るような災いがおこっても何も不思議ではありません。 

 世間では、そのきっかけになりうるものとしてトランプ大統領の暴走だとか、中国のバブル崩壊を指摘することが多いようです。でも私はAIによって引き起こされる可能性も同じくらい無視できないのではないかと考えています。

 

 ブラックマンデーの時はポートフォリオインシュアランスという先物・オプションを利用した"画期的なリスクヘッジ法"、ITバブルは"新たな産業革命"への期待、リーマンショックはローンの証券化をベースにした"新しい低リスク高利回りの金融商品"など、常に"新しくてすごい技術"が登場したときに危機が起きています。

 確かにこれらの技術は世の中を変えました。でも、いずれの場合もまず、①期待先行でバブル的な状況が生まれ、②期待が剥がれ落ち悲劇を生み、③バブルに関係のない投資家や庶民が混乱に巻き込まれ、④その後5~10年たってはじめて技術が成熟し、世の中を変えてきたのです。

 

 AIを使った資産運用も同じ匂いを感じるのは私だけでしょうか。金融機関や金儲けに目のくらんだ投資家は、過去の教訓を生かすことができない人たちですから、今回もおそらく同じ道をたどるのではないかと心配しています。

 

続きます