素人大家はカモではなかった!

 マスコミや識者、セミナー屋たちにおだてられ、焦らされ、脅されて、ここ数年で多くの素人大家さんが誕生しました。

 私は彼らをカモとさんざん呼んできましたが、今となっては正しくなかったと反省しています。彼らはカモではなく鵜だったんです!

 

 カモならば食べごろにまで生育させたら後は鍋になるだけですが、鵜は死ぬまで鵜匠のために働き続けます。生きて子孫を残すに必要な食料などは与えられますが、搾取され続けます。

 そんな鵜を見ていると副業や相続税節税などを目的とした「楽して儲かる」という発想の素人大家の姿がダブって見えてくるのです。

 鵜には一人しか鵜匠がいませんが、残念なことに素人大家には数多くの鵜匠がついています。鵜よりも不遇な環境に身を置いているのではないかとすら思えてきます。

 

 銀行には金利を、不動産屋には仲介手数料を、市町村には取得税や固定資産税、税理士には報酬を貢ぎ続けます。まあ、これらはルールや契約にともづいて支払われるものなので透明性があるだけましかもしれません。

 管理会社の管理費・広告費、工事業者の工事費に至っては、大家が素人だとわかると不必要な工事・サービスの提案や、水増し、手抜き、あらゆる手を使ってぼったくりにかかります。さらに経営改善やリフォームなどのコンサル屋が虎視眈々と彼らを狙っています。

 まさに四面楚歌、前門の虎後門の狼、渡る世間は鬼ばかりといった状況ではないでしょうか。

 

 あなたが税引き後100万円のお金を手に入れるために、銀行から管理会社に至る多くの関係者にいくら貢いでいるでしょうか。きっとその何倍も貢いでいることでしょう。

 100万円を得るために10万、20万しかかかっていないのであれば事業としても投資としても成功と言えるでしょうが、100万円も200万円も貢いでいるようでは失敗と言わざるを得ません。

 なぜなら空室、老朽化、金利上昇その他もろもろのリスクを一身に背負っているのは大家だからです。一番大きなリスクを背負った大家の手取りが、ほぼノーリスクである鵜匠たちに貢いだ金額よりも小さいというのはあまりにも残酷な話です。私に言わせればコスパ最悪です。

 

 もちろん、あらゆる投資、いやマイホームですら無知な素人はカモにされたに鵜にされます。でも、大家業は長期にわたること、鵜匠の数が多いこと、金額が大きいこと、逃げ出すことが難しいことから数ある鵜の中でも最も不幸な存在ではないかと私は思うのです。

 

 勉強し努力し、失敗から這い上がる根性や強い意志があれば鵜から脱却することも不可能ではないでしょう。実際に素人大家からスタートし大資産家になった方もたくさんいらっしゃいますから。

 でも彼らは成功するにふさわしい資質を持ち、リスクを取り、努力をしてきたということをお忘れなく。

 

(蛇足)

 本当の鵜匠のみなさんからは働き手である鵜を大切にしているという反論もあるでしょう。その通りだと思います。でも不動産にかかわる鵜匠のみなさんの合言葉は「生かさず殺さず」です。お忘れなく。