「なでしこ銘柄」投資の不都合な事実1

 「なでしこ銘柄」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。東証の上場企業の中から、女性が働き続けるための環境整備を含め、女性人材の活用を積極的に進めている企業を紹介するものだそうです。

 

 経産省が公表した資料をみますと、なでしこ銘柄は株価のパフォーマンスもよいと自画自賛していらっしゃいます。こちらがそのエビデンスです。f:id:hodohodo_life:20190816095313p:plain

 みたところ、10年間でTOPIXよりも25%ほどパフォーマンスがよいようです。では、この結果を鵜呑みにして「なでしこ銘柄」を購入したら本当に儲かるのでしょうか?私は大いに疑問です。

 

 事実、2013年ごろ「乙女のお財布ファンド」「女性活力日本株ファンド」など各社から投資信託が出ていますが、いずれもTOPIXよりも成績が悪いのです。

 机上の計算で成績優秀な銘柄を選ぶことと、実際の運用成績はまったく関係ありません。バックデータを使って計算したらTOPIXよりも優れていたことは事実かもしれませんが、それが将来の運用成績を保障するものではないからです。

 「過去の成績と将来の成績は関係ない」「過去成績の良かったファンドは、その後平均を下回ることが多い」ということは運用の世界の不都合な事実であり、常識です。

 

 

 ここで選定の流れを見てみましょう。先ほどの経産省の資料によると以下のような流れで選ばれています。

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 残念ながら、この選定の過程を見ると多くの疑問を抱かざるを得ません。

 

 この選定基準では、①緻密な行動計画を作り、②目標を数値に落とし込み、③その結果を評価する、いわゆるPDCAを回す会社が有利になっています。つまり、官僚化した大企業ほど得意な方法です。

 

 また、「女性活躍度調査」は、そこに働く従業員への調査ではなさそうです。おそらく人事部門とか企画部門が回答することになるでしょう(こちらを参照)。

 回答部門は、社長から「来年までになでしこ銘柄に選定させるように取り組め」と厳命されているはずですから、どのような回答をするか想像に難くありません(当然、The・忖度)

 

 さらに、財務指標による加点を行っていますから、意図的に赤字企業を外そうとしています。長期的な株価が企業業績に比例することを考えれば、財務指標を加えることによって、株価が低迷する企業を弾いていることはあきらかです。(それゃあ、TOPIXよりも運用成績が良くなって当然です)

 

 と、表面的なところから見るだけでも、官製評価であるなでしこ銘柄は投資家のためのものではなく、名声だけが欲しい意識高い系経営者と官僚の自己満足のための評価になり下がっているのではないかと、私は思うわけです。

 

 -続く-

 

※ 私は、女性の登用をはじめとする人材の多様化について大賛成の立場です。あくまで、なでしこ銘柄を選定してチヤホヤしたり、なでしこ銘柄に投資すれば儲かるとミスリードする、東証・上場企業経営者・証券会社などを批判しているだけです。