日経新聞が書かない「さわかみ投信」の疑問点

 月曜日の日経新聞に、直販系投信の記事が出ました。さわかみ信者のみなさんは、記事をご覧になり、さすがはわれらのさわかみ投信とご満悦のようです。

 

 さわかみ投信は前例のない挑戦をし、様々な障害を乗り越え直販というスタイルを定着させてくれました。おかげで、続々と独立系投信会社が誕生し「投資家の利益無視、販売会社の利益優先」という業界の悪弊に風穴を開けてくれました。その功績は称えられるべきだと思います。

 

 ただ、現在のさわかみ投信に対しては、本当に投資家の利益を優先しているのか、疑問に思わざるを得ないことがあります。

 

 

 運用会社は一般社団法人投資信託協会の定めた規則により「正会員の財務状況等に関する届出書」を公表しています。

 これによりますと、独立系投信の大手3社は、金融機関どころか全上場企業の中でも指折りの高収益体制です。

 

 (直近の営業利益率)

   さわかみ 53%、レオス 34%、セゾン 31%

 

 この高収益は、運用会社のコスト構造によるものと考えられます。収入の大半は信託報酬ですから、純資産残高に比例して増加します。一方、費用はシステム費用や人件費、広告費などの固定費が大半です。販売手数料などの変動費もありますが割合としては3割以下です。

 その結果、収入が損益分岐点を超えると利益が一気に増加し、利益率も上昇します。運用会社は典型的なストックビジネスなのです。

 

 もちろん、運用会社も株式会社ですから利益を追求することに問題はありません。でも、金融機関系列の運用会社を「投資家の利益を無視して親会社の利益を優先している」と批判し、成長してきた独立系運用会社が、これだけの利益率を上げる続けるとことに矛盾を感じてしまいます。

 

 投資家の利益を優先させる気があるなら、ヴァンガード社のように信託報酬を下げる努力をすべき時期に差し掛かっているのではないでしょうか(※レオスは長期保有者に対して信託報酬を優遇することにより一部還元している)。

 

 まあ、後発のレオス、セゾンはさわかみよりは利益率も低く、累損を解消し内部留保を厚くすることで運用会社の基盤強化をしているステージかもしれません。

 

 しかし、さわかみはもう十分な内部留保を確保してわり、かつ毎年親会社(さわかみ家の資産管理会社?)に対して多額の配当を行っています。

 信託報酬の引き下げを行わず、従業員に対して金融業界最低水準(※)の給与しか払わないで、配当をプライベートカンパニーに還流させるという現在のビジネススキームは本当に顧客本位、投資家本位なのでしょうか?

 ※澤上龍社長および従業員のみなさんから直接聞きましたし、決算書の人件費からも事実だと思います

 

 このプライベートカンパニーは合同会社であるため、外部監査はおろか決算公告の義務すらありません。外部からは財務諸表や資金の流れを知ることは不可能なのです。

 もちろん、不正や違法行為があるわけではありません。合法です。ただ、投資家本位を掲げて成長してきた会社にもかかわらず、説明責任も不要で資金の流れが見えなくなるスキームを作ってそこに利益の過半を配当するという姿勢はいかがなものかと思うわけです。

 

 日経新聞社におかれましては、よいしょ記事を書くだけでなく、社会の公器としての独立系運用会社のあり方について、一石を投じていただきたいものです。

 

 ※私はさわかみ社の口座を所有しておりますが、現在残高はゼロです。